51: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:44:21.18 ID:EnRHzSex0
「ねえ。今度、お祭りがあるみたいなの。行ってみたい。行きましょう」
明瞭かつ、端的に要件を伝えてきたのは彼女だった。お祭りか。
テストも終わり、少しだけだが、僕は、また順位をあげていた。
52: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:44:53.73 ID:EnRHzSex0
「お待たせ。待った?待ってないわよねえ。言ってみたかっただけ」
「今、僕が来る瞬間見てたでしょう。待ってるはずはないと思うよ」
53: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:45:22.14 ID:EnRHzSex0
「楽しかった。今日は付き合ってくれて、ありがとう。感謝してる」
「いいよ。僕も祭に興味あったし。久々にはしゃいじゃったよ、僕」
54: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:45:47.18 ID:EnRHzSex0
僕は、それを口にしてから「しまった」と思っていた。
彼女は以前、その話題について避けようとしていたはずだった。
なのに、今、こうやって僕が話を掘り返そうとしている。ああ。
55: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:46:15.80 ID:EnRHzSex0
「あなたは、元の世界に戻りたいって、思うかしら?」
「そうだな。僕は、この世界でもいいとは思ってるよ」
56: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:46:41.36 ID:EnRHzSex0
「花火。綺麗じゃない」
彼女の言葉は、市販の小さな花火で打ち消されてしまった。
小さな花火だったけれど、僕たちには、それで十分だった。
57: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:47:07.92 ID:EnRHzSex0
あなたは 幸せ です。
58: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:47:37.68 ID:EnRHzSex0
それからと言うもの、僕と彼女の距離は少し縮まったと思える。
「やっとねえ」と母に言われ「やっとか」と父も言った。
「結局俺らには青春はなかった」と同級生は嘆いていた。
59: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:48:06.32 ID:EnRHzSex0
ある日、僕はそろそろ先生に借りを返そうと思った。
二年の後期中間テストで、かなりの成績を修めたのだ。
両親は大喜びし、僕に、いくらかのお小遣いをくれた。
60: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:48:32.49 ID:EnRHzSex0
「いい生徒を持って、あたしは嬉しい。感涙だ。最高」
一食奢っただけで、僕のイメージはかなり変わったようだ。
パスタをくるくると巻きながら、淑やかに口に運んでいる。
61: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:49:02.64 ID:EnRHzSex0
なんだって?
二人目。ということは、もう一人も同様の質問をしたということだ。
この世界のシステムに気付いているものなど、そうは居ないはずだ。
133Res/129.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。