82: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:02:27.02 ID:EnRHzSex0
「ねえ。あなたは、わたしのこと、好き?告白しなくてもいいから」
それに好きと答えれば、それはもう、告白なのではないかと思う。
しかし、彼女は真剣に聞いていた。ならば、真剣に答えるとする。
83: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:02:59.07 ID:EnRHzSex0
「願いは叶った。今日は、雪だって。嬉しい。雪が降るのよ」
クリスマスの日。学校は、既に冬休みだ。このまま卒業間近まで。
高校生の身分なので、それに相応しいような店で食事をしていた。
84: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:03:30.52 ID:EnRHzSex0
そして、ようやく年明けだ。僕らの余命は、残り八十時間ほどだった。
彼女から年賀状が来ている。ああ、先生からもだ。ありがたいな。
僕もふたりに出したし、いい年になればいい、と楽観視していた。
85: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:03:58.54 ID:EnRHzSex0
「もしもし。お前かよ。どうした。あけおめだな。あけおめ」
「あけまして、おめでとうございます。声が聞きたくなって」
86: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:04:45.74 ID:EnRHzSex0
「神様なんぞよりに頼むよりかは、幸せは自分で掴み取れよ」
「放っときゃ、降ってくるもんでもねえぞ。そういうのはな」
87: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:05:29.44 ID:EnRHzSex0
「もう、卒業式の二日前か。教室。すごく、寂しくなっちゃったな」
「そうねえ。おかげさまで、わたしの寿命も、もうすぐだって思う」
88: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:06:01.86 ID:EnRHzSex0
「いいのよ。わたしは、これから、自分勝手なことをしようと思う」
「わたしは、わたしのために、あなたを幸せにして、不幸にするの」
89: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:06:32.84 ID:EnRHzSex0
あなたは 幸せ です。
90: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:07:14.34 ID:EnRHzSex0
僕は、そのメールを受け取った瞬間、崩れ落ちそうになっていた。
幸せ。幸せだって。そう記載されている。残り一日。一時間だ。
僕は、不幸にならなければいけないはずだった。なのに、僕は。
91: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:07:52.43 ID:EnRHzSex0
時間は少ない。もう、残り五十分。両親のように体調を崩してはいない。
となれば、突然死するという方が自然だろう。死因は多々あったはず。
同一の条件であったのは「八十歳に至れば、死亡する」というものだ。
92: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:09:42.88 ID:EnRHzSex0
「いきなり呼び出して、ご挨拶じゃねえか。こんばんは、だろうが」
「あなたが、観測者だったわけだ。僕は、もう、気付いてしまった」
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