過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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145: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 06:58:50.75 ID:GlcPGu06o
「……もしかして、中小プロのPさん、ですか?」

 そんな折、声を掛けられたのは驚きだった。びくり、と体を震わせ振り返ると、そこにいたのは以前、エントランスホールに机を引っ張り出して事務作業をしていた、若いプロデューサーだった。

「このようなお時間に、どうかなさったのです?」
以下略



146: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 06:59:16.39 ID:GlcPGu06o
(類は友を呼ぶ、というやつかな)

 彼らはきっと、私と違って非凡であり、なおかつ有能なのだろう、と思った。いまさらそれに落胆したり、消沈したりするつもりはない。

 私は平凡である。だが、平凡でありながら有能と言うのは体現できるはずだ。そして、それが出来るのであれば、大きな強みになる。
以下略



147: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 06:59:43.00 ID:GlcPGu06o
 やはり、一人で入るのが心細かっただけの話のようだ。彼に導かれるように歩くと、すんなりと拍子抜けするほど簡単に、私はシンデレラガールズの社屋に迎え入れられる。

 だが、迎えられたのは、社屋だけではなかった。

 エントランスホールにあったデスクは既に片づけられており、あとは受付に人が配置されればいつでも稼働状態となりそうだ。稼働となれば、結構な人数が行きかうはずのエントランスホールはがらんどうとしている。
以下略



148: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:00:13.12 ID:GlcPGu06o
「今の君は、お客さんだ。だからおもねる必要はない」

 そして、私を先導してくれたプロデューサーに目配せをする。すると、彼はにこりと笑い、そして私へ頭を下げ、そして階段の方へと行ってしまう。

 人払いをさせた。と言う事は、今からきっと返事を聞かれることになるのだろう。
以下略



149: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:00:39.73 ID:GlcPGu06o
 そして、その問いかけに対し、私は全ての記憶と、全ての思い出を今再び、走馬灯のように思い起こす。七年前、あの事務所に採用されたあの日から培われたものだ。

 決して華々しい思い出ではない。平凡ですらなかったかもしれない。それでも、今この場において思い起こすと、全てがこれ以上ないぐらい愛おしい思い出だ。

『……お答えする前に一つ、お聞きしても良いですか』
以下略



150: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:01:18.73 ID:GlcPGu06o
『社長は、私の何を評価してスカウトをしてくださったのですか?』

 それが不思議だった。あの事務所で、私はとりたてて業績が良かったわけではない。むしろ悪かったと思っている。

 それに、優れたスキルを有しているわけでもなく、あまつさえ裏方の花であるプロデューサーやディレクターでさえない。どう見ても、余り冴えない人材であることは否めないだろう。
以下略



151: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:02:59.85 ID:GlcPGu06o
「正直に言うと、私は君がとてつもないほど平凡な人材と思っている。だがね、感じたんだよ」

 彼は手を大きく広げると、真っ直ぐなまなざしで私をじっと見てくる。思わず私は尋ね返した。

『感じた、とはなんです?』
以下略



152: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:03:31.16 ID:GlcPGu06o
「さあ、聞こう。答えてくれ、Pくん」

 社長は、もう一度私に尋ねる。私は、全てを決心した。

 そして、しっかりと社長を見据え、口を開く。
以下略



153: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:03:57.66 ID:GlcPGu06o
 彼女が居なければ、私が社長の言葉の意味を知ることはなかったかもしれない。私がこうやって、意識を変えることはなかったかもしれない。

 無能な凡人が、有能な凡人に出会い、そしてお互いがお互いに何かを感じた。それが、私の運命を変えたのだ、と私は思った。

「まあ、ともかくだ。契約書にサインをしてもらうのは後にするとして、君には早速だが仕事をしてもらいたいのだがね」
以下略



154: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:05:00.16 ID:GlcPGu06o
「で、だ。とりあえず君にはプロデューサーを担当してもらうのだが、所属アイドルは今の所、全員プロデューサーたちに割り振ってしまっていてね。なので、君好みの子をスカウトしてきてほしい」

 大丈夫かね、と確認するように彼は聞いてくる。

『ち、ちょっと待ってください。状況が良く飲み込めないのですが……』
以下略



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