51: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:26:58.67 ID:Fg9GCM/jo
今回の更新は以上です。ペースを上げていきたいですね。
読んでくださり、誠に有難うございます。
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/05(月) 01:33:24.50 ID:r2PhNO2eo
乙乙
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/05(月) 08:38:14.18 ID:LWKpgjh3o
おっつおっつ
黒川さんはやっぱり美人よね、わかるわ
54: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:13:40.72 ID:fDDiOZLHo
『はっ、はっ、はっ……っ』
私は急いでいた。というか、完全にデジャヴュである。昨日もまるっきり、こんな感じだった。そうである、案の定残業が長引いたわけだ。
ただ、少し違うのは、昨日よりも大よそ二十分の猶予があることか。先ほどプロダクションを出た時は九時三十分だったから、このペースで行けば四十分には着けるはず。
55: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:14:12.50 ID:fDDiOZLHo
『頼むぞぉ……』
私は呼吸を整えると、祈るような手つきでドアの取っ手に手を掛ける。その向こう側には――。
『……一応、間に合ったみたいか』
56: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:14:46.42 ID:fDDiOZLHo
『――ッ』
体が、固まった。今日は、クラシック曜日のはずだったが、私の耳に聞こえてきたのは、流麗なバイオリンの音でも、芳醇なピアノの音でもなかった。
聞こえてきたのは、声。長く、高く伸びる、透明な声。他に楽器の音色は聞こえない。クリアなその声、ただ一つだ。
57: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:15:13.86 ID:fDDiOZLHo
『……ええ、圧倒される、というのはこういう事なのでしょうね』
足に力を込めて、私は立ち上がる。体中のエネルギーを持っていかれたような気がする。そのぐらい、千秋さんの声は私の体に、畏敬の念を抱かせたのだ。
『すみません、いつものを頂けますか』
58: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:15:40.21 ID:fDDiOZLHo
『ええ、凄まじい歌声でした。千秋さんは声楽を習ってらしたので?』
「そうよ。私、クラシックが好きなの。それで、いつかはクラシックの歌手になって見せよう、と思っていたの」
そういって微笑む彼女は、どこかつまらなさそうではあった。その理由は定かではない。気分を害することは言っていないはずだが、彼女の眼は私をじっと見据えている。
59: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:16:06.71 ID:fDDiOZLHo
『……そうですね、感動はしなかったです。とても凄まじい声ではありましたが』
「っ、どういう、ことかしら」
少し、彼女の目つきが厳しくなった気がした。
60: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:16:37.24 ID:fDDiOZLHo
『えーっと、ですね。その、何と言ったらいいかわからないのですが』
「おっ、どうかしたのかい」
そうやって言いよどんでいるうちに、マスターがサラダセットとブレンドコーヒーを持って戻ってくる。
61: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:17:29.01 ID:fDDiOZLHo
(いや、正確には全く感動しなかったわけではないんだけど……。説明が、ええい、もうどうにでもなれ)
私は半ば自暴自棄になりながら、内心でそう叫び、そしていつも通り頭の中で整理をし始める。
確かに、彼女の声は凄まじい物だった。だが、感動はしなかった。この矛盾点をどうにかして説明しなければならない。
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