過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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545:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:16:10.69 ID:k2Irhjhjo



 取り残された俺はひとりでぼんやりと夕陽を眺めた。それから長い長い溜め息をつく。
 風が凍てついたように冷たく、夕闇がタチの悪い冗談みたいに街を覆い始めていた。
以下略



546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:16:42.71 ID:k2Irhjhjo

「さて」と俺は口に出してみた。
「帰ろう」
 
 でも体はなかなか動かなかった。
以下略



547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:17:49.55 ID:k2Irhjhjo

 校門を出てから、自分がどこに向かって歩いているのか分からなくなってしまった。
 家に帰ろうとしている。でも、家に帰るまでの道筋が思い出せなくなってしまった。
 
 たしかに記憶の中にあるはずなのに、どこをどう進めば家に帰れるのか、分からない。
以下略



548:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:18:16.80 ID:k2Irhjhjo

 ビィ派は肩をすくめると、「帰ろうぜ」と俺を促した。俺は何も言わずに彼の歩みに従う。

「部活の調子は?」

以下略



549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:18:55.64 ID:k2Irhjhjo

「どっか寄っていかねえ?」

 ビィ派がそんなことを言うので、俺たちは二人で商店街まで歩いていくことにした。
 大通りには美味いものを安価で売る店がたくさんあって、だからうちの学生は帰りに商店街に寄っていくことが多い。
以下略



550:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:19:39.76 ID:k2Irhjhjo

 答えになっていなかったけれど、俺たちは商店街から結構歩いた位置にある町はずれのバッティングセンターまで歩いた。
 秋空の下でタイヤキを食べながら男二人で歩いていると、妙なことばかり考えてしまう。将来のこととか。

 バッティングセンターには、ほとんどいつも利用者が誰もいない。
以下略



551:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:20:07.22 ID:k2Irhjhjo

 彼がそうしている間、俺は自動販売機でジュースを買って飲んでいた。
 ビィ派それを目ざとく見つけると、今度は、

「あ、俺にも」
以下略



552:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:20:55.43 ID:k2Irhjhjo

「なんかって?」

「なんか」

以下略



553:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:21:24.39 ID:k2Irhjhjo

「友達を大勢作ろうって気にはならないけどさ、見ず知らずの人と話したりするのは楽しいんだよな。
 このあいだ、なんかよさそうなスーツ着た外人のオッサンと世間話したりしたし」

「どこで会ったんだよ、そんな人と?」
以下略



554:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/30(月) 20:22:03.85 ID:k2Irhjhjo

 不意に、今言っておかないといけない気がして、俺はビィ派に向けて言葉を投げた。

「あのさ、俺……」

以下略



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