過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 21:27:24.35 ID:foU1KJOC0
赤城と加賀は艦娘として覚醒する前、同じ道場で弓術を学んでいた仲であり、道場内では「双龍」だとか「龍虎」だとか呼ばれていたものだ。
そんな付き合いの長い二人であるから、相手の考えはすぐに分かるのである。
「吹雪さん、この子の服装をよく見てください……」
「え? いや、かわいいな〜と思いますけど」
「……トラックではそうそう手に入らない上等な品です。つまり、この子の実家はかなり裕福な家庭で、しかもこの子を見るに日系人であるということですね。それが現地で不可解なトラブルに巻き込まれたということは……?」
以下略
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2013/11/11(月) 21:27:58.22 ID:foU1KJOC0
あの時――。
赤城は艦載機型の艤装を飛ばすと同時に、気絶から覚めた男たちを空から追跡するよう命じていたのだ。
狙いは的中し、気絶から覚めた男たちはそのことに気づかぬまま、この茶屋とは山を挟んで反対側にある船着き場へ向かい、日に二本の定期船で秋島へと渡って行ったのである。
定期船を降りた男たちが向かったのは、秋島の中心部に存在する洋風の屋敷であった。
そこまで突き止めれば、あとは簡単だ。
以下略
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2013/11/11(月) 21:28:30.47 ID:foU1KJOC0
「場所が分からないし、分かっても今はまだ、ね。私も、なんとか都合をつけて日に一度は必ず来るようにするから……」
「うー……」
文月は少しだけむずがったようであったが、
「うん、いいよ。あたしがまんするね」
「よし……」
以下略
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2013/11/11(月) 21:29:01.34 ID:foU1KJOC0
「こうと決めたからには、意地でもこのやり方で通すことが肝要ですよ」
と、笑いながら話す赤城であったが、やはりその内心にじりじりとしたものがあったことは否めない。
何より、幼い文月を狭い茶屋へ押し込めるようにして暮らさせているのである。
これは再度の誘拐を防ぐ当然の措置であるとはいえ、健康な少女の心身に負担をかけていることは考えるまでもない。
唯一、幸いといえるのは文月が老夫婦になついてくれていることだろう。
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2013/11/11(月) 21:29:31.50 ID:foU1KJOC0
再び赤城がつがえた矢を見れば、その先端には妖精が必死の形相でしがみついているのが分かった。
そして再び音速を超える一矢を放てば、それは空中で見る間に形を変え、九六式艦戦の姿となるのだ。無論、操縦席に座るのはしがみついていた妖精である。
これが本来の正規空母型艦娘による発進シークエンスであり、文月を救った時の簡易なものとは次元が違うものと分かる。
放たれた矢――艦載機――は合計で二本。うち一本は、例のピアイルック家へ向けられたものだが、一本は春島内地へ向けられていた。
「――何か進展があったのですか?」
以下略
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2013/11/11(月) 21:30:03.52 ID:foU1KJOC0
再び赤城がつがえた矢を見れば、その先端には妖精が必死の形相でしがみついているのが分かった。
そして再び音速を超える一矢を放てば、それは空中で見る間に形を変え、九六式艦戦の姿となるのだ。無論、操縦席に座るのはしがみついていた妖精である。
これが本来の正規空母型艦娘による発進シークエンスであり、文月を救った時の簡易なものとは次元が違うものと分かる。
放たれた矢――艦載機――は合計で二本。うち一本は、例のピアイルック家へ向けられたものだが、一本は春島内地へ向けられていた。
「――何か進展があったのですか?」
以下略
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2013/11/11(月) 21:30:46.74 ID:foU1KJOC0
行き交う人々の流れに飲み込まれそうになりつつも、吹雪は青葉の講釈にいちいち相槌を打っていた。
トラック諸島の中でも最大の人口を誇る春島の中で、更に最も人口密度の高い市場である。
最大の人口を誇るといってもせいぜいが二万人程であるが、それだけの人間が一斉に必要な品々のやり取りを行う場所なのであるから、そのわいざつさは推して知るべし、だ。
いかにも場離れしていなさそうな吹雪などは歩く先々で露店から声をかけられ、とうとう売りつけられたチョコバナナが手に握られていた。
「それにしても、こんなところでチョコバナナなんて売ってるものなんですね……」
以下略
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2013/11/11(月) 21:31:14.15 ID:foU1KJOC0
テープを早回しにしたかのような独特な言葉で訴える妖精に、青葉は冷静に返した。妖精と艦娘とは、このようにして意思の疎通をおこなうことが可能なのだ。
「ふむ……あの日本人は高遠さん、というみたいですね」
望遠レンズを通じて表札を見ながら青葉が言った。
「高遠……高遠……聞き覚えがありますよぉ、ふむふむ」
そう呟く青葉の口角が上がっていくのを、確かに吹雪は見届けていた。
以下略
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2013/11/11(月) 21:31:46.54 ID:foU1KJOC0
ミクロネシアに関する様々な書籍や、日本の伝統文化などに関して記された書籍をみっしりと収められた本棚を並べ、窓際にはアンティーク調のデスクが置かれたそこは、いかにも外交官のそれにふさわしい書斎であるといえる。
長年使い込み、むしろ新品時よりも風格を備えるに至った愛用のデスクに納まりながら、しかし、高遠陽一は仕事に手がつけられる心境ではなかった。
その目が向かうのは、デスクの片隅に置かれた写真立てである。
写真に写されているのは、彼がこの世で最も愛する存在……自分の娘である。
「天使のような……」
以下略
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2013/11/11(月) 21:32:15.32 ID:foU1KJOC0
あえて冷房を切られた室内にはじっとりと湿り気を帯びた空気が充満しており、ただ座っているだけでも汗ばみそうな程であった。熱帯性気候であるトラック諸島の夜は、日本の夏と同様に暑いのである。
そんな中でも、赤城は汗ひとつかかず杯の酒を口に運んでいた。
例の茶屋、二階座席である。
赤城は文月を救ったあの時と同じように、髪を三つ編みにまとめ、伊達眼鏡をかけた平服姿となっている。
机の上には肴として鰹のたたきが並べられ、半分ほどはすでに赤城が食してしまっていた。トラック諸島が位置するこの海域は太平洋諸島地域で最も多く鰹が生息しており、日本人が持ち込んだローストビーフにも似た調理法も今ではすっかり定着している。
以下略
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