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2013/12/07(土) 00:22:42.10 ID:gLkbd9Kt0
『はやせちゃん』
優しい笑顔で近付いてくるあの子が子どもを喰らう化けモノに見えて、私は怖くて逃げた。
その時、彼女がどれだけ傷ついた顔をしていたかは、今でも覚えている。きっと顔に出さないよう努力していたのだろうけれど、彼女は一瞬、泣きそうな表情になった。
それでも私は彼女から離れた。
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2013/12/07(土) 00:24:32.03 ID:gLkbd9Kt0
『神厳山』
それは神のすまわっているとされる神聖な山。そこには“おばあちゃん”が住んでいる。
本当のおばあちゃんではない。昔、幼い頃あの子と一緒に迷い込んだ時出会ったその山に住んでいる人だ。
しばらく会っていなかったけれど、あの子が姿を消してからも私は度々訪れていたので多分分かってくれるだろう。
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2013/12/07(土) 00:25:38.03 ID:gLkbd9Kt0
「……あ、わ……!」
とっさに何かにつかまろうと手を伸ばすと、何か温かいものに触れた。
こちらが握る前に手を握られ、すごい力で引っ張られる。
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2013/12/07(土) 00:26:22.89 ID:gLkbd9Kt0
「まさか、お前も契約者なのか!?いや、お前が……!証はどこだっ!」
「な、何言ってんですか……!契約って何……!?」
「とぼけるなっ!あいつと、あいつと契約したんだろう!?」
「だから私は何にも……!」
「そう、その子は何も知らない」
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2013/12/07(土) 00:27:16.12 ID:gLkbd9Kt0
「その子は契約するわ、私と」
少女の口角が上がった。今朝の、ぞっとするような笑み。背筋が凍るとはまさにこのことだ。
男の人もわずかながらひるんだようだ。
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2013/12/07(土) 00:27:49.01 ID:gLkbd9Kt0
「あ……そうですよね」
あはは、と笑うと、今度こそ名乗る。
「夏風はやせ、です」
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2013/12/07(土) 00:28:29.70 ID:gLkbd9Kt0
「おばあちゃん!」
「あらあら、はやせちゃん?」
おばあちゃんの細い目が微かに見開かれる。
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2013/12/07(土) 00:29:25.69 ID:gLkbd9Kt0
おばあちゃんの家は山のふもとにある。よくマンガや昔話で見るような家をそのまま再現したような家だ。もちろん、川も流れているので水車つき。
幼い頃は、よくここまで来ては思い切り遊んでいた。ここまで来るには、私が入った所からは正反対の所にあるので(というか、入れるようなとこはあそこしかない)一担<一旦と書きたかったのだと思われる>登ってまた下りなければならない。
早くても三時間はかかるのに、おばあちゃんがいるとほんの数分で着いた感じがするから不思議だ。(実際に時計ではかったことはないけど)
「さあ、どうぞ」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:30:03.72 ID:gLkbd9Kt0
「あの……」
「何?」
「さっき言ってた能力者とか契約とかってどういうことですか?」
ほんの一瞬、空気が凍りついた気がした。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:31:05.97 ID:gLkbd9Kt0
「はやせちゃん」
「はい?」
山を下りた後、家の近くの公園まで送ってくれたおばあちゃんは、どこか影のある表情で言った。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[[sage]]
2013/12/07(土) 00:31:37.18 ID:XDVNMYfc0
いいぞもっとやれ
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