過去ログ - 男「僕は兄さんが好き」女「私は姉さんが好き」
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1: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:37:41.42 ID:njxcZXfCO


今日は三年生の卒業式だった。
一通りの式典が終わり、すっかり人気の無くなった三年のとある教室。
一年生の僕はそこに忍び込み、前から三番目の窓際の席に腰掛けると、持ってきた自分のスクールバックからあるものを取り出した。


それは、今日卒業した僕の兄の体操服だった。
僕は兄の席に座りながら、その体操服をそっと彼の机の上に置いた。
最後の兄の体育の日が、僕の洗濯当番の日で良かった。



暫く静かな教室の中、無言でそれを見詰めた。
そして湧き上がってくる気持ちの昂りのまま、思いっきりそれを抱きしめ、僕は一心不乱に匂いを嗅いでいた。



彼の最後の体育は、さほどハードな内容ではなかったらしく、服に全く汗ばんだ様子が無かったのが幸いだった。
洗わないまま何週間と経った今でも全く不快感が無く、僕の鼻腔一杯に兄の臭いを満たすことが出来るのだから。



男「兄さん兄さん兄さん兄さんハスハスハスハスハスハスハス」

女「あなた、ここで何してるの?」




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2: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:39:41.69 ID:njxcZXfCO


そこで一人の女子生徒の声が、がらんどうな教室に凛と響き渡った。
僕の心臓が痛いほど膨らんで、どきぃ!という音が頭の中に反響する。

以下略



3: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:40:49.10 ID:njxcZXfCO

意外にも彼女の顔にはこれと言ったものが無かった。
特に不快そうな様子も、こちらを嫌悪しているような感じも、僕には見えなかった。
それどころか、彼女は慌てる僕に不敵に笑ってみせた。

以下略



4: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:42:14.99 ID:njxcZXfCO

〜サイゼリア〜



以下略



5: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:48:51.00 ID:njxcZXfCO

女さんって、こんなに喋るんだな。
僕は驚いていた。
彼女はいつも一人で物静かに本を読んでいる人だった。
長い睫毛を伏せ、背筋を綺麗に真っ直ぐ伸ばしているその姿は、兄に心底ベタ惚れの僕でも見惚れてしまうことがあった。
以下略



6: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:50:40.46 ID:njxcZXfCO

女「あなたにも、私と一緒に頑張ってみて欲しいの」

男「僕も?つまり、兄さんにアタックしまくるってこと?」

以下略



7: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:52:19.80 ID:njxcZXfCO

〜男の家〜



以下略



8: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:54:30.97 ID:njxcZXfCO

女「あら?貴方だって、時々ゾクッとくることあるわよ」

男「そうかな……僕にも女さんみたいな魅力があればなー」

以下略



9: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:56:26.90 ID:njxcZXfCO

二年間はあっという間だった。
告白する機会を逃したまま、僕らは卒業式を迎えることになった。
その前日の夜、僕らは初めていつものサイゼリアではないところで会うことにした。
真夜中の学校のグラウンドだ。
以下略



10: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 19:58:22.37 ID:njxcZXfCO

彼女と初めて見た夜空は、結構たくさん星が見えて、柔らかな月光を浴びる姿はとても美しかった。



以下略



11: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:00:38.29 ID:njxcZXfCO

男「兄さん、話があるんだけど」

兄「なんだ?真面目な顔で」

以下略



12: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:03:29.45 ID:njxcZXfCO

女「ねぇ、男くん」

男「……もしかして、計画の続き?」

以下略



13: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:04:38.22 ID:njxcZXfCO

僕たちが愛せるのはお互いの兄や姉だけだったけど、でも愛とかじゃなくて、大切な人だと思うのならば、もしかしたら兄よりも彼女を選ぶかもしれない。
誰にも話せなかった秘密を共有し合い、お互いに毎日ドキドキしたことや悲しくなったことを深く分かち合ってきたこの二年。


以下略



14: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:06:24.41 ID:njxcZXfCO

女「どうやら、私がお先に結婚するようね」

男「本当に良かったよ。女さんなら兄さんを託せるから」

以下略



15: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:08:55.24 ID:njxcZXfCO

女「男くん」

男「ん?」

以下略



16: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/02/09(日) 20:10:30.26 ID:njxcZXfCO

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ーーーーー
ーー

以下略



17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/09(日) 21:42:32.93 ID:styZcflSO
面白い!


18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/09(日) 22:55:55.77 ID:DVjzyzGOo
よかった

おつおつ!


19: ◆NrFF2h.q26[sage]
2014/02/10(月) 00:57:41.12 ID:r6SEevPIO

読んで下さってありがとうございました。
って書き込むだけだったのに、私用でけっこう時間が空いてしまった……。
改めてありがとうございました。



20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/10(月) 07:07:33.10 ID:4SuuYh/Ro
いい話だった


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