10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:39:09.90 ID:bEFC5GTXo
あった。"展覧会の絵"と印刷された背表紙。そのアルバムを外側のケースから抜き取って、スピッツに重ねた。
なんとなく、ELPのアルバムをもう一枚重ねた。
"恐怖の頭脳改革"という妙なタイトルが気になったのだった。
11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:39:54.15 ID:bEFC5GTXo
昨日借りたのは、"当たり"だった。アイアン・メイデンとポリスは元々好きだったし、
今度安いのを見つけたら買っておこうと決めた。
スピッツとELPはどれから聴くか迷って、
まず、"恐怖の頭脳改革"をプレーヤーにセットした。
12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:41:21.06 ID:bEFC5GTXo
さて、私は基礎練習は毎日同じ量をこなす。
今日も同じ量をこなしたが、いつも楽しくてじっくりやれる練習に何かじれったさを感じた。
練習を切り上げて、自由時間に入る。
今の気分は――決まっている。今の気分は昨日の夜から、決まっている。
13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:42:27.92 ID:bEFC5GTXo
歌い終わると、先生は盛大な拍手を送ってくれた。
二か所、音程がぐらついたのと、ビブラートがへろついたのとで、私は自分の歌に不満だった。
「いや、如月、すごいよ。素敵だ」
「でも……ミスしました」
14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:43:07.46 ID:bEFC5GTXo
「辞めました。つい、一週間くらい前に」
「そうか。……でも、練習は続けるんだな」
「まずいですか?」
「いや……まずいってこたない」
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:44:12.72 ID:bEFC5GTXo
「合唱部なら色々と学ぶこともあるかと思ったんですけど、あの調子ですから」
先生は目を細めた。あの調子、を想像しているのかもしれない。
「ここで練習、しても構わないですよね?」
16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:45:23.71 ID:bEFC5GTXo
先生は暇なときは私の練習を見に来た。時々、忙しくて来られないこともあったけど、
歌は職員室でしっかり聴いていると言っていた。
先生が練習を見に来ている時、今まで通り気分で選曲して歌う他に先生のリクエストを受けることもあった。
ちょっと前なら、鬱陶しいのであっち行ってください、くらい言っただろうけど。
17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:46:19.73 ID:bEFC5GTXo
「こ、声ですか」
「うん。どうした。顔が赤いけど」
先生は苦笑いして、私の赤面を指摘した。
18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:47:12.98 ID:bEFC5GTXo
基礎練習を済ませてから、私は目を瞑って考えた。
今の気分では、歌いたい歌は何も思いつかなかった。
溜息をついて、いつも先生の座っている階段に腰かけてみる。
この席から私はどう見えていたのか。私の頭はちょうど窓くらいの高さだろうか。
19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:48:28.23 ID:bEFC5GTXo
「……立ち入ったこと訊いてもいいか」
立ち入ったこと。家族のことだろう。どうぞ、と私は質問を促した。
「お母さんと仲悪い?」
20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:49:21.45 ID:bEFC5GTXo
「先生、私、本当に時々……時々なんですけど」
隣に座る先生の眼を見る。私はこれから残酷なことを言う、と目で合図すると、
先生は少したじろいだ。立ち入ったのは先生だ。私は彼の手を引く。
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