22: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:26:25.80 ID:iWvh8kZB0
静謐な空気を味わいながら、私は教室の扉を開きます。HRの十分前。これが私のいつもの登校時刻なのです。
ん?
静謐な空気?
23: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:26:57.19 ID:iWvh8kZB0
黒マントの目が妖しく光りました。黒い光を放って、同時に椅子や机が同様の光を帯び、がたがたがたっと持ち上がります。触れることなく。
少女「サイコキネシス……?」
24: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:28:05.45 ID:iWvh8kZB0
だとしても問題は解決されません。どう考えても私の「有言実行」はこういう事態に対処できるような能力ではないのです。とにかく会話をして、言質を取らなければ。
椅子の脚が私のセーターの襟を掠めて行って、思わず前につんのめります。椅子はようやく壁に激突して大破しましたが、私を今追ってきているのは、もう一つ。
そうです、机です。
25: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:30:26.99 ID:iWvh8kZB0
黒マントは呵呵大笑として、そのオッドアイで私を見ました。
黒マント「うひゃひゃひゃ! 俗人としてはよく堪えた方よ! が、しかぁし。我の『黒光纏いて優雅に踊れ』の前では、何人たりとも逃げることは叶わん。無駄無駄無駄ァ!」
26: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:31:55.57 ID:iWvh8kZB0
超常の光が私を中心に満ちました。それは机と椅子を包んでいた黒光を打消し、下敷きになっていた私を吹き飛ばします。
どこへ? ――当然、友人のところへ。
即ち、私の教室へ。
27: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:32:54.42 ID:iWvh8kZB0
私の背後は教室で、死体が山と積み重なっている。ここは三階で飛び降りても死にはしないだろうけれど、脚は折れるだろう。そして追いつかれて死ぬ。結局死ぬのだ。
ならば真正面、この黒マントを何とかするしかほかに方法はない。
やはりこうなるのか。
28: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:33:27.62 ID:iWvh8kZB0
壁に激突する机や椅子には巻き込まれずに済みましたが、躍り掛かった私は黒マントに一蹴されます。腹を殴られて朝食を戻しそうにすらなりました。
ガラスの破片は黒光に覆われています。
こいつ、操れるのは椅子と机だけじゃ、ない?
29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 22:34:18.69 ID:iWvh8kZB0
おとうさん。
死ぬわけにはいかないのです。いかないのです。いかないのです!
だって、このままじゃ、お父さんが。
30: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 22:35:11.70 ID:iWvh8kZB0
私は汗を拭った。一瞬だけひやっとさせられたものの、万事問題はない。当然だ。だって私は選ばれし者で、他のやつらとは格が違うんだから。
ま、まぁ、この眼鏡も選ばれし者なんだろうけど、その中でも私は一流なのだ。
最初は殺し合いと聞いて怯えていた気持ちがなかったわけではない。けど、やっぱり私は一流だ。格が違う。だってほら! こんなにも容易く、あっさりと、もう一人殺してみせた!
31: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 22:36:42.61 ID:iWvh8kZB0
大きく伸びをして目頭を指で押さえる。この能力は私にぴったりで気に入ってるんだけど、眼精疲労が欠点。あと、やっぱり机や椅子は格好悪い。もっと似合う何か――例えば煌びやかなナイフとか漆黒の針とかじゃないと。
黒マント「貴様がやれ。それくらいは責任の範疇だろう?」
32: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 22:37:20.69 ID:iWvh8kZB0
それか、言葉をすぐに翻すけど、逆に学校へ行ってみるのもいいと思った。あいつらは私のことを知らない。お前らなんてすぐに殺せるんだ――そう思いながら授業を受けるのは、きっと爽快な気分だろう。
なんなら実際に虐殺してみせたっていい。どうせあの宇宙人が何とかしてくれるのだから。
あぁ、気分がいい。
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