38: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:09:19.34 ID:iWvh8kZB0
金髪「ぎゃはっ!」
片腕の金髪はやはり痛覚などないみたいに木刀へ立ち向かう。というか、互角以上の戦いを演じている。
一撃は木刀の方が大きいのだろうけど、金髪の武器はその全身で、打撃以外にいくらでも細かな動きができる。木刀を掴んで捩じる動きが入るだけで詰襟には不利だった。
39: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:14:15.50 ID:iWvh8kZB0
咀嚼の音だけで耳がおかしくなりそうだった。精神が病んでしまいそうだった。あの口――あんな口、あれが能力でなくて一体なんだっていうのか。
おぞましい。
思わず胃の中身を戻しそうになって下を向けば、詰襟が金髪に切迫していた。唸る木刀。それをひらりひらり回避する金髪。
40: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:15:32.46 ID:iWvh8kZB0
歯を必死に喰いしばっても隙間から空気が、声が、漏れていく。涙も目じりに溜まる。痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
黒マント「ぐ、ぅううう、が、あぎ、っ!」
41: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:16:27.40 ID:iWvh8kZB0
黒マント「……どうだ?」
蓋に乗ったまま空を飛んでどれくらいがたっただろう。撒こうと蛇行してきたから、直線距離ではそれほど遠くまで来ていないと思う。それでも五分くらいは能力を使いっぱなしだ。流石に眼も、疲れた……。
42: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:17:35.53 ID:iWvh8kZB0
指が二本消えてしまったことのショック、そして体のバランスの喪失は著しい。ぐちゃぐちゃになった肉と骨が付け根にぶら下がっていて、正直見ていられないくらいだ。
痛い、痛い、痛い。気を抜いたらまた涙が出てくる。深く呼吸をして、落ち着けなければ。
43: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:20:15.78 ID:iWvh8kZB0
けど、どうやってこっちの居場所がわかったっての!? 空飛んできたのよ、こっちは。くそぉ!
呼吸が浅い。脂汗が滲んでいる。体が発するアラートがうるさくてうるさくてたまったものじゃない! 従えるんだったら私だって従いたいよ!
44: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:21:35.65 ID:iWvh8kZB0
問題はまだ相手の姿かたちがわからないことと、能力。
こんなとき二次元のキャラだったらどうするだろう。ブリュンヒルデ・ノワールだったら? それは当然任務遂行だ。華麗に追いつき、裏をかいて、余裕綽々の大勝利。うん。私にだってそれしかないよね。
指とか、肩とか、耳とか、こんなものは名誉の負傷だ。
45: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:22:22.56 ID:iWvh8kZB0
黒マント「逃げられたか?」
だとしたらどこへ。屋上から去るのより、私がビルに突入するほうが圧倒的に早かったはずだ。入り口以外に出入りできるところは……、
非常口!
46: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:28:57.43 ID:vq3mQqnr0
何も準備の無い私は不利だ。
それでも、私は負けない。ブリュンヒルデ・ノワールの名にかけて。
とにかく、このまま人ごみに紛れて地下へと入ろう。高低差がないだけでもだいぶ気にする箇所は減る。にらみ合いになるのかもしれないけど、その時はこちらが逃げればいい。機動力は私の方が絶対に上なんだから。
47: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:38:55.41 ID:vq3mQqnr0
??「あれ、わからない? 底辺校なだけあるね。頭が悪い」
いや、わからないはずがない。嫌な予感がしたのだ。そちらに脳のリソースがとられて、うまく考えられないだけなのだ。
ずっと私は手のひらの上だったのか?
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