64: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:41:37.04 ID:9NO0r5n60
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そのまま直帰するため、鞄の類は全部持って、あたしたちは件の『進めない門』へと向かっていた。町はずれの屋敷。あたしも場所だけは知っている。確か、大きくて古い日本家屋があったはずだ。
オカルト好きの間ではそこそこ有名なのに、どうしてさほど話題になっていないのか。それもまた怪しい。まるで何らかの力が働いているかのようじゃないか。
例えば、宇宙人とか。
65: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:42:35.43 ID:9NO0r5n60
後輩「で、音がして、門が閉まりました。自動で。おかしいんですよ。風もなかったし、開くときはわたしが開けたのに」
腕章「もう一度試した?」
66: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:53:14.89 ID:9NO0r5n60
後輩「なんですかなんですか、水臭いなぁ! わたしたちの仲じゃないですか!」
まぁ、いろいろとあるのよ。
そう言おうとしたとき、あたしの視界を真緑が横切っていった。
67: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:53:50.44 ID:9NO0r5n60
後輩「ね、先輩、先輩? 先輩!」
後輩があたしの手を引く。
邪魔だ、やめろ。早くあんたはどっかに行け。お願いだから。巻き添えになるから。そんなの嫌だから。
68: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:54:48.76 ID:9NO0r5n60
なんだ。なんだこれ。一体全体なにがどうなっている。
車が突っ込んで来た――それはわかる。それにしたってタイミングがよすぎやしないか。絶妙に彩人を避けて、あたしだけを轢殺するこの角度。
邪気眼と同じようなサイコキネシスか? けれどそれなら、ブレーキ音がするのは聊か理解に苦しむ。事実邪気眼が車をぶん投げたときはブレーキ音なんてしていなかったはずだ。
69: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 00:58:00.84 ID:9NO0r5n60
彩人「二位の私に勝てるかな!?」
きんきん声で彩人は叫んだ。こちらの目を覗き込むように、その澄んだ瞳が見開かれている。
同時に流れ込んでくる、こいつの全て。
70: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 01:03:13.48 ID:9NO0r5n60
銃弾は逸れていった。彩人は流石に銃を見て分が悪いと判断したのか、迷いなく後ろへ逃げ出す。
腕章「逃がさない。逃げらんないわ」
71: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 01:03:46.45 ID:9NO0r5n60
と、あたしはそこで、自分が門の内側にいることに気付いた。
気づいてしまった。
と言うべきだったかもしれないけれど。
72: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 01:04:26.49 ID:9NO0r5n60
あたしの能力の範囲内に感知できる能力者の数は二。つまり、この屋敷の主と、先ほどの彩人。
助けを呼べば来るだろうか。例えば悪即斬。いや、屋敷の主が悪であるならまだしも、何もない状態では加勢をしてはくれないだろう。最低限、あの正義バカが屋敷の主を「悪」と認定してくれなければ。
弱肉強食は猶更駄目だ。あいつを呼んだところで来ちゃくれないだろうし、来ても結局あたしが襲われるのが眼に見えている。
73: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 01:05:17.30 ID:9NO0r5n60
門扉が消えている。
漆喰に塗られた塀が続いていた。
よく見れば先ほどあたしが銃弾を撃ち込んだ箇所も、いつの間にかすっかりと直っている。
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