過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4
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12:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 02:37:43.95 ID:igNzDGpD0
「はっ……あ゛っ……ぎぃっ!」

足を抱えるようにして上条が床に転がり込み、苦悶の声を漏らした。
喉が痙攣してまともな悲鳴すら上げられない。
気も狂わんばかりの痛み。足の水分が、血が、ぼこぼこと泡を立てて沸騰している。
以下略



13:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 02:45:32.55 ID:igNzDGpD0
「…………ぅ……ぐぉ」

気が遠くなるような痛みに苛まれ、ぐったりとした上条に、木原が晴れ晴れとした表情を向ける。

「あと少しのところで手が届かない。我々が何度も通った道だ。君にも是非とも体感してもらいたい。
以下略



14:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 02:51:51.97 ID:igNzDGpD0
「まずは論より証拠だな。――――あぁ、お前たち、音声は拾えているかな? つけてくれたまえ」

一瞬何を言っているのかわからず、上条が怪訝な顔をしたが、すぐに察した。
男の仲間たちに何らかの作業を指示しているのだ。
はたして、木原が手をかざしてから数秒後、巨大なモニターにいくつもの波形や数値が表示された。
以下略



15:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 02:56:51.28 ID:igNzDGpD0
「それをこうも恩を仇で返されては、過激な対応もやむなしだな。
くく、今現在表示されている彼女の脳波から、いったい何が読み取れると思うね?」

我に返った上条が木原を見上げる。

以下略



16:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:03:03.06 ID:igNzDGpD0
「テメェに……テメェなんぞに、アイツの何が……わかるってんだ」

食蜂は、自分が抱えている問題については誰も巻き込もうとしなかった。
そうあろうと努めていた。
この騒動の以前から、自我を押し潰される瀬戸際に至るまで。
以下略



17:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:10:30.08 ID:igNzDGpD0
「こ、んのっ! ――どこまで腐ってやがるッ!」

計測対象の危険を知らせるビープ音を聞き、堪らず上条が駆け出した。
そのすぐ足元で、地面に転がっている金属球が勢いよく跳ね上がった。
側頭部に直撃を受けた上条が床を二転三転する。
以下略



18:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:24:13.67 ID:igNzDGpD0
(ちく、しょう。どうして……)

どうして自分は、自分の言葉は、こうまで無力なのか。
この軽蔑すべき人でなしに勝つことさえできないのか。

以下略



19:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:31:24.38 ID:igNzDGpD0
「それまでの間、役にも立たん正義感を振りかざし、我々から研究成果を奪おうとした罪を、
たっぷりと思い知らせてやらねばならんな。君にも、あの子にもね」

内面に生じつつある変化とは裏腹に、皺だらけの指先からよからぬ命令を下す電波が二度三度と放たれ続ける。
全体の波形が段々となだらかになっていく様が霞む視界に映る。
以下略



20:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:40:01.47 ID:igNzDGpD0
「……何だこれは。どうしたことだ?」

上条に目もくれることなく、木原が端末機に駆け寄った。
タッチパネルを焦り隠せぬ手つきで叩き、内臓マイクのスイッチを連打する。

以下略



21:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:44:33.64 ID:igNzDGpD0
――窓のないビル


「何故君は、あのような連中に好き勝手を許しているのかな?」

以下略



22:乾杯 ◆ziwzYr641k[saga]
2014/06/10(火) 03:53:23.90 ID:igNzDGpD0
「私が彼らを一方的に利用しているのならその批判もわからないではないが、両者の関係性は持ちつ持たれつだよ」

「そのように見せかけているだけではないのかな?」

「見解の相違だな。だが、常に患者の側に立とうとする命の恩人に敬意を表して、最初の質問には答えようか」
以下略



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