12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/14(月) 21:52:19.30 ID:PeQPCDngo
娘のキーナの夫になったのも似たような若者だった。
いやアレにそそっかしさを足したさらに救えない男だった。
だが娘はそこがいいのだとほざくのだ。
「なんかほっとけないじゃない」
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2014/07/15(火) 18:37:57.72 ID:eOhLbTZvo
「ミナ!」
ヘレナが呼ぶとミナは「お婆ちゃーん!」と歓声を挙げた。
なあにがお婆ちゃんだ。ヘレナは苦々しく口を歪ませた。
一応は師匠と弟子なのだからもっとふさわしい呼び方があるだろうに。
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2014/07/15(火) 18:38:32.65 ID:eOhLbTZvo
「そんな、やだよー」
ミナはびしょ濡れのまま取りすがってくる。
「絵本よんで。お歌うたって」
孫娘の手の湿り気から退避しながらヘレナは首を振った。
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2014/07/15(火) 18:39:10.75 ID:eOhLbTZvo
視線の高さを少女に合わせてしばし見つめ合う。
「それならよし」
「やったぁ!」
小躍りを始めるミナにヘレナは発破をかけた。
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2014/07/15(火) 18:39:39.82 ID:eOhLbTZvo
それからしばらくはミナも真面目だった。
他のもっと楽しいことに惑わされることなく魔法の訓練、つまりは探し物に専念していた。
……だからといってそれに結果が伴うわけでもなかったが。
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2014/07/15(火) 18:40:11.26 ID:eOhLbTZvo
「探し物はこれじゃあない」
「なんで? きれいなのに」
「綺麗だがこれじゃない」
「お婆ちゃんはこの石嫌い?」
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2014/07/15(火) 22:01:07.83 ID:eOhLbTZvo
その次の日もそのまた次の日も探し物は見つからなかった。
いよいよヘレナは不安になってきた。
この子には魔女としての資質が皆無なのではなかろうか。
とうとう癇癪を起して探索の放棄を宣言した孫娘(「もうやだー!」)を前に、ヘレナはそんな危惧を抱いた。
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2014/07/15(火) 22:01:42.81 ID:eOhLbTZvo
魔女は魔法という不思議を味方につける。
なくなったものがあれば『不思議と』分かるし、見つけようと思えば『不思議と』見つかる。
そういうものだ。それが魔女なのだ。
だからそれができないミナは魔女ではない。と、必然的にそうなる。
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2014/07/15(火) 22:02:12.40 ID:eOhLbTZvo
うー。ミナは目の前の憎き偏屈老婆を見上げて唸りをあげた。
十秒ほども睨み合いが続いただろうか、ミナは最後に一声叫んでこちらに背を向けた。
「お婆ちゃんの大馬鹿モニャラミミズーッ!」
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2014/07/16(水) 00:58:11.76 ID:j9ltMIbK0
乙
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