過去ログ - 絵里「その花の色は海のよう」
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1:※えりうみ[saga]
2014/08/10(日) 15:27:58.13 ID:PqSllGERo

 膝元の裏から少し上、
 スカートのひだに掛からない辺りで
 ふわっと肌に触れた花びら。

 あ、
 と声がもれ出てしまったのは
 そよ風が重なったせいかな。

 振り向くと、
 私より少しだけ背丈の低い支柱に絡まったツルから
 大きな花がいくつも咲いていた。

 青紫の花びらは
 どれも八月の直射日光に向けて満開で、
 なんとなく、
 スポットライトを浴びて
 笑顔を輝かせるあの子たちのことを思い浮かべたりする。


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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:29:36.09 ID:PqSllGERo

 花の数、試しに数えてみたら、
 ちょうど九輪……いや、十一輪だった。

 残りの二人は誰だろう、
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:32:49.57 ID:PqSllGERo

 午後一時十八分、
 待ち合わせの時間までもう少し。

 目線を合わせるようにしゃがみこんで、
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:36:36.20 ID:PqSllGERo

「気づくかなって思ったんです」

 にやにやと口元をゆるめてみせる海未。
 もう、こんな顔する子だなんて思わなかったのに。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/10(日) 15:36:37.06 ID:VuLTMomU0
なんか手が混んでるな
期待


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:39:16.98 ID:PqSllGERo

 海未は指を伸ばして私の頬に……
 じゃなくって、肩の辺りで咲いてた一輪に触れてみせた。
 こう、
 支柱の方へ軽く押しやるように。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:41:57.29 ID:PqSllGERo

 少し離れると、
 あの子が細い指を二本ほど揃えて伸ばして
 はみ出た花と葉に触れてる姿がはっきりと見える。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:44:37.48 ID:PqSllGERo

「ねえ海未。その花、なんていうの?」

 もう少しだけここにいたくって、そんなことを問うてみた。
 よく見る花だけど、そういえば日本名を知らなかった。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:47:17.88 ID:PqSllGERo

 気を使ってくれたのかもしれない。
 だからわざと、私はこの青い花の話をせがんだ。

 どんな風に育てたのか、
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/10(日) 15:47:54.99 ID:ZWueA4bG0
いい雰囲気


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:49:58.32 ID:PqSllGERo

「でも、大丈夫だったの?
 絵日記も観察日記も、人によって異なるはずでしょう?」

 ふと私が口にすると、海未はこう返す。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:52:38.70 ID:PqSllGERo

 ふいに海未が歩みを止めた。
 私もつんのめるように止まって、
 やっと向こうの信号が赤だったのに気づく。
 灼熱の陽射しを浴びて動き出す乗用車のボンネット、
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:55:19.33 ID:PqSllGERo

 ビル街を一直線に抜ける二車線の国道、信号はなかなか変わらない。
 三つほど先の交差点、首都高のICからは
 様々な会社のロゴが描かれたトラックや乗用車が絶え間なく行き交う。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 15:57:59.73 ID:PqSllGERo

 ヒマワリ?
 って、あの、黄色くて大きな花のこと?
 おぼろげな知識で確かめる。

以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:00:40.20 ID:PqSllGERo

 信号はまだ赤のまま。
 横断歩道の向こう岸の親子は待ちくたびれて、
 男の子に引かれるようにして後ろのローソンへ逃げ込んでしまった。

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:03:20.64 ID:PqSllGERo

「……海未、ケンカ売ってる?」

 ちょっと目尻に力をこめて言ってみる。
 すると海未は目を見開いて、
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:06:01.03 ID:PqSllGERo

「それよりどういう意味なのよ」

「その……そういうところです」

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:08:41.46 ID:PqSllGERo

「だったら、なおさら私じゃないわ。
 私、そんなに強くないのよ?」

 笑ってやり過ごすつもりで乗せた自分の軽口が、
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:11:21.82 ID:PqSllGERo

 右折専用の青い矢印が灯って、車の通りがやや少なくなる。
 もう少しで信号が変わる。
 青になる。
 集合は二時過ぎだから、遅れることもないはず。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:14:02.18 ID:PqSllGERo

「絵里? どうかしましたか?」

 数秒も経つ頃には海未がいつもらしい微笑みを作って問いかける。
 信号も青になっていて、さっきの親子が歩き出す。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:16:42.98 ID:PqSllGERo

 海未は何事もなかったように道を渡ろうとする。
 草木も枯れるほど白く焼き付ける横断歩道へと歩み出る。

 だめ、
以下略



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