過去ログ - 響「赤月の夜空に、ごきげんよう」
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2014/10/09(木) 00:02:03.61 ID:QYxfMoaZo
秋の夕方。
今日はとっても、特別な日。
「ねぇねぇひびきん！ 今日何の日か知ってる？」
事務所のドアを開けると、亜美がいきなり飛びついてきた。
「知ってるよ。皆既月食でしょ」
「ちぇーっ……ひびきんも知ってたか……」
「そりゃ、テレビでいっぱい言ってたし、学校でも話題になってたしね」
三年ぶりの皆既月食に、みんなワイワイ盛り上がってた。
自分もずっと、今日を心待ちにしてたんだけどさ。
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2014/10/09(木) 00:04:23.80 ID:QYxfMoaZo
ただ、自分の場合は、みんなとはちょっと違う理由で。
「亜美、貴音来てる？」
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2014/10/09(木) 00:07:00.61 ID:pBA4XXQs0
期待ー
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2014/10/09(木) 00:11:02.28 ID:QYxfMoaZo
「貴音はもう上がり？」
「はい。本日のレッスンは終わりました故」
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2014/10/09(木) 00:14:46.57 ID:QYxfMoaZo
貴音はカップラーメン。
プロデューサーはコーヒー。
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2014/10/09(木) 00:17:32.32 ID:5Ce/F8bAO
支援は紳士のつとめ
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2014/10/09(木) 00:19:41.05 ID:QYxfMoaZo
結局、四杯目を死守してから事務所を出た。
やや物足りなくも満足げな貴音を見てると、ちょっとむかっとする。
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2014/10/09(木) 00:25:25.40 ID:QYxfMoaZo
「この辺りでいいかな」
「そうですね。ここなら人目もつかないでしょう」
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2014/10/09(木) 00:29:59.79 ID:QYxfMoaZo
「あ」
月が。
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2014/10/09(木) 00:34:20.82 ID:QYxfMoaZo
座りなおして、また月を見上げる。
先はまだ長い。
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2014/10/09(木) 00:38:57.73 ID:QYxfMoaZo
そんな世間話が、ぴたりと止んだ。
「あ、小指が……」
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2014/10/09(木) 00:44:29.74 ID:QYxfMoaZo
そのあとは、何も話さなかった。
二人でただただ、月を見上げる。
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2014/10/09(木) 00:46:30.01 ID:peqpH/cTo
雪歩のやつ書いた人？違ってたらごめんなさい
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2014/10/09(木) 00:48:41.92 ID:QYxfMoaZo
「わ、笑うことないだろー！」
「ふふふっ。響はまこと、可愛らしいですね」
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2014/10/09(木) 00:53:37.69 ID:QYxfMoaZo
月がどんどん、影に食われてく。
その姿と同じように、貴音の身体もどんどん消えていく。
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2014/10/09(木) 00:58:28.50 ID:QYxfMoaZo
「……貴音、居なくなっちゃった」
呟いても、返事は返ってこない。
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2014/10/09(木) 01:03:46.53 ID:4MkbpsEho
響って臭そう
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2014/10/09(木) 01:09:32.63 ID:QYxfMoaZo
その姿は、さながら月の現し身のようで。
「響」
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2014/10/09(木) 01:10:56.01 ID:g8W6tcXx0
いい雰囲気
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2014/10/09(木) 01:23:30.70 ID:QYxfMoaZo
赤銅の月に照らされ、二人の影が空へ舞う。
貴音に誘われた空は、吹きつける風が冷たかった。
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2014/10/09(木) 01:35:37.44 ID:QYxfMoaZo
風に乗って、虚空を蹴って。
赤月の夜空を、軽やかに舞う。
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