11:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:14:06.81 ID:kmZ4QHJb0
 ビクビクと痙攣する鶫の隣に立ち尽くしていたのは、ずっと探していた愛しの彼、一条楽。 
 「あんた鶫に何してんのよー! っていうかそんなことより親友ってどういうことよバカァー!」 
 衝撃的な光景も、大好きな男の子からかけられた期待外れにも程がある言葉への憤りにはかなわない。 
 足元はふらふらしていても、駆け寄る勢いと腕の振りを活かして繰り出した一撃はあのもやしを吹き飛ばすには十分な威力。 
 ……だったはずなのに、楽はわたしの拳を軽く片手で受け止めて、それどころか腕を取るとくるりとわたしの身体を回転させた。 
12:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:15:40.12 ID:kmZ4QHJb0
 思わず大声でとんでも無いことを言ってしまった気がする。 
 だけど楽は慌てた素振りもなく、変わらず低い声で言う。 
 「そっか……でもな、千棘。親友だろうと恋人だろうとお酒の勢いだろうと……やっちゃいけないことがあるんだぜ……?」 
 「な、何を言っひゃあっ!」 
  
13:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:17:26.47 ID:kmZ4QHJb0
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 「え、えへへ……こ、これで、親友の一線は超えたはず……」 
14:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:19:10.59 ID:kmZ4QHJb0
 ◆その3 羽姉 
  
 「こらー楽ちゃん!だめじゃらいの、女の子にひどいことをしちゃー!」 
 ゆらゆらとおぼつかない足取りでこちらへ向かってくる年下の男の子。 
 愛しい愛しい楽ちゃんにビシリと指を突きつけて、私、奏倉羽はお姉さんらしく言い放った。 
15:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:21:10.80 ID:kmZ4QHJb0
 「だからな、羽……」 
 楽ちゃんの声が一段と低くなって、その目がギラリと光って見えた。 
  
 「俺のことを……お兄ちゃん、って呼ぶんだ」 
  
16:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:22:50.27 ID:kmZ4QHJb0
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 「……これは想像以上だったね」 
17:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:25:27.70 ID:kmZ4QHJb0
 ◆その4 万里花 
  
 「ケホッ……ケホッ……」 
 薄暗い寝室で一人、わたくし橘万里花は咳をしておりました。 
 今頃、楽様は初詣に行っていらっしゃる頃でしょうか。桐崎さんや小野寺さんも一緒でしょうし、心配ですわ……。 
18:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:27:15.77 ID:kmZ4QHJb0
 慌てて窓を開けて、楽様を部屋に招き入れました。窓の外には当然足場なんてありません。 
 少しでも足を滑らせれば遥かな地上まで真っ逆さまです。 
  
 「橘……」 
 「あ、あの、楽様……ど、どうしてそんなところから……?」 
19:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:29:27.35 ID:kmZ4QHJb0
 「だ、だめばい……らっくん……んっ……」 
  
 楽様の唇が私の唇と触れる。柔らかい感触と、かすかな湿り気。 
 時折唇の間から漏れる、切なく苦しげな吐息。 
 まさか、楽様の方から、こんな風に……。 
20:名無しNIPPER
2015/06/11(木) 00:30:55.10 ID:kmZ4QHJb0
 ◆エピローグ アマザケ 
  
 「ううん……どうしてこんなに身体が痛いのかしら……」 
 そんなことを言いながら、千棘がぐーっと伸びをする。 
  
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