192:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 09:34:15.29 ID:AcBC3WIDO
「今は動くな」
そう言われた。従うしかない。息は絶え絶えで、思考もはっきりしない。膝にも力が入らなかった。動けと言われても動けない状態である。
193:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 09:45:57.53 ID:AcBC3WIDO
「立て。そろそろ動ける筈だ」
「…………」
194:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 09:59:26.60 ID:AcBC3WIDO
ライは俯いた。すれ違う街の人間、笑い声、音楽、映像。そういった周囲の万物が、今はどうしようもなく空虚に感じられる。そしてなにより、そう思う自身の心が一番虚ろで空っぽなのだと、理解させられた。
この少女も、そう思っているのではないか。
195:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 10:14:23.67 ID:AcBC3WIDO
「お前の力は全てを壊す。それは私にとって不都合だ」
「……力? その力というのは、一体なんだ」
196:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 19:19:23.86 ID:AcBC3WIDO
この状態から抜けだせるのなら、何にでも縋ろう。それが藁でも悪魔の手でも、関係なく握るだろう。
もう、誰かに迷惑を掛けるのは嫌だ。
197:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 19:36:32.28 ID:AcBC3WIDO
自分が何をしたいのか。分からない。記憶探し以外のことを、なるべく考えないようにしていたからだ。そしてそれは、これからも変わらないだろう。
記憶を取り戻せば、きっと分かる。そう思うしかない。そのためなら、ギアスだろうが何だろうが、利用してやる。
198:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 19:55:08.07 ID:AcBC3WIDO
買い出しを終え(結局、何に使うか分からない玩具だった)、ライは帰路についていた。買い物袋はそれなりに重かったので休憩するべく公園に向かった。
C.C.のおかげで時間に余裕が出来たのもある。公園では名誉ブリタニア人の姿も多くあった。赤子を抱く女性、出店を開いて客を呼び込む男性。そして、友達とはしゃぐ子供達。
199:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 20:11:12.57 ID:AcBC3WIDO
「…………」
どうしたものかと考えこむ。
200:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 20:24:27.30 ID:AcBC3WIDO
買い物袋を両手に持って、公園の出入り口に向かった。この場に背を向ける事に抵抗はあったが、飲み込むしかない。カレンが聞いたら、きっと激怒するだろう。彼女はブリタニア人なのに、日本人の肩を持つからだ。
なんとなく後ろめたい気分のまま歩くライの横を、一陣の風が吹き抜けた。
201:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 20:46:05.92 ID:AcBC3WIDO
日本人男性は公園を出て右に曲がって行った。一瞬にして、その姿は見えなくなる。
遅れて、泥だらけになったブリタニア軍人がやってきた。彼らは見るからに激怒していた。当たり前だろう。踏みつけ、足蹴にしていた名誉ブリタニア人──日本人の前で恥をかかされたのだから。
202:名無しNIPPER[saga]
2015/06/26(金) 21:08:02.37 ID:AcBC3WIDO
夕暮れ時。雲一つ無い空は真っ赤に染まっている。ライは買い物袋と領収書を生徒会室に置いてから、午後の授業を受けていた。
放課後は生徒会があったはずだ。帰りのホームルームが終わった後もリヴァルと雑談をしていたせいで、遅刻の危険性がある。まずいと思いながら、中庭の付近を走っていた。
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