708: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:02:53.19 ID:+/5T+82DO
「じゃあ、私が持ってくるから。あなたはおとなしく待っててね」
静かだが、有無を言わせぬ口調。ライには頷くことしか許されていなかった。すごすごと着席し、なんとなく窓の外を眺める。まるで主人の帰りを待つペットのような気分だ。
709: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:04:08.44 ID:+/5T+82DO
「今日のカレン、ちょっと変じゃない?」
この話題の事だと思ったからだ。
710: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:05:21.89 ID:+/5T+82DO
「……うーん。確かに」
シャーリーは困ったように唸ってから、列に並んでいるカレンの方を見た。
711: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:07:32.84 ID:+/5T+82DO
「本望でしょ」
「理由くらいは知らないと、死にきれないだろう」
712: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:09:37.72 ID:+/5T+82DO
四六時中、監視されるとは。まるで囚人の気分だ。このままではまずい。
いま学園にいる人間でなんとか出来る者がいるとしたら、それはシャーリー以外にいない。
713: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:10:59.25 ID:+/5T+82DO
助けてほしいというのはライの本心であり、切実な望みだが、シャーリーの背中を押したい気持ちも確かにあった。
カレンに必要なのは記憶喪失の不審者ではなく、心を開ける友人だ。それは間違いない。問題があるとすれば、二人が好意を寄せている相手が同じだということくらいだ。
714: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:12:35.34 ID:+/5T+82DO
シャーリーは呆れた様子だが、ライにはそう言うだけの根拠があった。
以前、学園の中庭でポーチを拾った事がある。色はピンク。可愛らしい外観で、化粧品などを入れるための物だ。カレンの持ち物だと知っていたので、彼女へ届けようと思った。
715: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:14:05.40 ID:+/5T+82DO
食器を乗せたトレーを二人分、両手に持ち、カレンが向かってくる。
「き、来てる来てるっ。私は戻るからね!」
716: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:15:42.09 ID:+/5T+82DO
「え? いや、あの……」
カレンに怒った様子は無い。いつもと変わらぬ静かな物腰。口調は丁寧で、当たり障りなど微塵もなかった。それだけに、先ほど見せた異様な視線が気になった。
717: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:17:07.82 ID:+/5T+82DO
「そっか、そうだよね」
シャーリーは納得したのか、両手を胸の前でぽんと合わせた。安心したとばかりに頷き、笑顔になる。
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