712: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:09:37.72 ID:+/5T+82DO
四六時中、監視されるとは。まるで囚人の気分だ。このままではまずい。
いま学園にいる人間でなんとか出来る者がいるとしたら、それはシャーリー以外にいない。
713: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:10:59.25 ID:+/5T+82DO
助けてほしいというのはライの本心であり、切実な望みだが、シャーリーの背中を押したい気持ちも確かにあった。
カレンに必要なのは記憶喪失の不審者ではなく、心を開ける友人だ。それは間違いない。問題があるとすれば、二人が好意を寄せている相手が同じだということくらいだ。
714: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:12:35.34 ID:+/5T+82DO
シャーリーは呆れた様子だが、ライにはそう言うだけの根拠があった。
以前、学園の中庭でポーチを拾った事がある。色はピンク。可愛らしい外観で、化粧品などを入れるための物だ。カレンの持ち物だと知っていたので、彼女へ届けようと思った。
715: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:14:05.40 ID:+/5T+82DO
食器を乗せたトレーを二人分、両手に持ち、カレンが向かってくる。
「き、来てる来てるっ。私は戻るからね!」
716: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:15:42.09 ID:+/5T+82DO
「え? いや、あの……」
カレンに怒った様子は無い。いつもと変わらぬ静かな物腰。口調は丁寧で、当たり障りなど微塵もなかった。それだけに、先ほど見せた異様な視線が気になった。
717: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:17:07.82 ID:+/5T+82DO
「そっか、そうだよね」
シャーリーは納得したのか、両手を胸の前でぽんと合わせた。安心したとばかりに頷き、笑顔になる。
718: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:18:28.09 ID:+/5T+82DO
いくら恐怖を覚えたとしても、あまりに直接的な物言いは良くない。シャーリーに叱られたライは素直に謝る。
「…………」
719: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:20:02.37 ID:+/5T+82DO
「あ、ああ……」
着席し、持ってきてもらった食事を見る。三日間熟成させたショート・リブをメインに、ジャーマンポテトとサラダ、トマトと海老のスープが顔を揃えていた。
720: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:21:23.17 ID:+/5T+82DO
目の前の少女を見る。ブリタニアという国に対して、決して良い感情を持っていないだろう彼女は、いったいどんな気持ちで食事をしているのだろうか。
こうして自分を食堂に連行し、ブリタニア料理を食べさせているのはなんらかのメッセージなのではないのか……ライはそんな考えを巡らせながら、ナイフとフォークを動かしていた。
721: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/10/12(月) 00:22:33.89 ID:+/5T+82DO
いつの間にかカレンを凝視してしまっていた。
ライからの熱い視線に彼女が気づかないわけもなく、気まずそうに身じろぎし、チキンを運んでいた手を止める。
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