872: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:48:39.88 ID:dxIhcDNDO
「いま一緒に戻れるわけないでしょう? 荷物は私が持っていくから」
「だが、待ち合わせなら校門付近で良いはずだ」
873: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:49:45.43 ID:dxIhcDNDO
広場には幾つか屋台が並んでおり、名誉ブリタニア人──日本人の姿も多く見える。こういう場所は租界でも珍しい。カレンが待ち合わせにこの場所を良く使うのにはそういった理由もあった。
自然と頬が緩む。虐げられてばかりの日本人だが、ここにいる人達は活気に満ちていた。
874: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:52:29.93 ID:dxIhcDNDO
「大丈夫?」
汚れた服の事など気にもとめず、カレンはしゃがみ込んで男の子に手を差し伸べた。メッシュ素材に似た手触りのスカートは汚れに強いし、使えなくなったところで買い替えれば事足りる。
875: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:54:34.55 ID:dxIhcDNDO
どうしようもなかった。
ブリタニア人と日本人。加害者と被害者。支配する側とされる側。そんな線引きがカレンと目の前の親子の間にはあった。
876: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:55:53.46 ID:dxIhcDNDO
人の少ない場所を探してベンチに腰掛け、カレンは空を見上げる。スカートの汚れを拭き取る気力すら無かった。
最悪の気分だった。人のいない所を探して、息を潜めているしかない。学園でもこの公園でもそうだ。ブリタニア人でも日本人でもないためか、どこにいても居心地が悪い。
877: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:56:52.78 ID:dxIhcDNDO
「どこに行ってたの?」
最近は食事している所をじっくりと見られる事が多い。照れ隠しに横目で睨みながら、カレンは尋ねた。
878: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:58:02.43 ID:dxIhcDNDO
「なによ、保護者気取り?」
気遣いすらも疎ましい。僅かな苛立ちがそのまま刺々しい言葉になる。助けておいて貰って、こんな事しか言えない自分に嫌悪感が湧いてきた。
879: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:59:12.02 ID:dxIhcDNDO
「そ、そう……」
「僕も最近は寝つきが悪い。……嫌な夢ばかり見る」
880: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/16(月) 00:01:46.36 ID:X7IsvjhDO
「……最悪よ。ばか」
この男はどうしてこうなのだろうか。大抵の事はそつなくこなすくせに、対人関係の事となると途端に不器用になる。
881: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/16(月) 00:02:49.69 ID:X7IsvjhDO
がばっと立ち上がると、ライの姿勢がカレンの下半身に向かった。
「汚れを放置していていいのか。股間部がべったりだぞ」
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