1:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/26(日) 23:57:17.14 ID:PysBm5Bf0
婆「お釣りね。またおいで〜」
男「はい、また来ます。では」ガラッ
男(ついにこの和菓子屋で買ってしまった。前から興味があったんだけど、行く機会が無かったからな)
男(人柄の良いお婆さんだったな……この辺はあまり来ないけど、また今度来てみよう)
男(今日は暑いなあ……湿気が多い。雲も出てるし雨が降りそうだな)
ポツッ
男「ん」
ポツッ ポツッポツポツポツ……
男「げっ、結構強……」
ザァアアァアァァアアァ……!
男(やばい、どこか……この道はあまり建物が……あ、こんな所に神社が!)タッ
男(ひとまずここで雨宿りしよう。通り雨みたいだし)
男「ふぅ……せっかくだしお賽銭を」チャリーン
女「こんにちは」
男「!? こ、こんにちは」
男(人がいたのか、気付かなかった!)
男「生憎の雨ですね」
女「あら、私は好きですよ。雨の音は落ち着きます」
男「ああ、そういう人も多いですね」
男(しかしこの人……着物か。夏だし祭りがあるのかな?)
女「くんくん……甘い匂いがしますね」
男「!? え、ええ。和菓子屋に行った帰りですが……」
女「そうなのですか」ジー
男「……た、食べます?」
女「良いのですか?」パァァ
男「まあ、一つではありませんし……」
女「ありがとうございます。この恩は忘れません」フカブカ
男「うわっ、何もそこまでしなくても。大した事はしてません。頭を上げて下さい」ゴソゴソ
男「はい、練り切りですね、爪楊枝もつけてくれてます」
女「綺麗……これは桃を模ったものですね」
男「おおっ、これは美味しい。良い店見つけたな」モグ
女「甘さがとてもさっぱりしていますね。生地も非常に滑らかです」
男「後一つ、どら焼きを買ったんですが……」
女「! どうぞ召し上がって下さい、一つだけなのでしょう?」
男「はは、随分と和菓子が好きなんですね。そうだなぁ……よし、ここの神様にお供えする事にします」
女「えっ」
男「どちらが食べるとなると、お互い気にしますからね。これでよしっと」ポン
女「あ……」
男「……お、雨がましになってきた。僕はそろそろ帰る事にします」
女「あら、もうですか?」
男「ええ、話し合い相手になっていただいて楽しかったです。では」ペコ
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 00:06:12.97 ID:+3B8N87VO
期待しえん
3:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/27(月) 11:44:38.86 ID:/MI56J410
婆「へえぇ、あの神社にねぇ〜」
男「はい、不思議な雰囲気を持つ女性でした」
婆「もしかしたら、神様なのかもしれないよぉ」
4:名無しNIPPER
2015/07/27(月) 12:17:42.17 ID:1YKa6jJ9O
良い雰囲気の話だな
5:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/27(月) 12:54:01.86 ID:/MI56J410
男「まずは安倍川餅です」
女「いただきます!」
女「おいしい」モニューン
6:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/28(火) 00:05:02.80 ID:ixm4jMg20
男「あの」
女「何でしょう?」
男「証拠……みたいなのって、ありますか?」
7:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/28(火) 11:45:02.72 ID:ixm4jMg20
婆「へえ、本当に神様だったのかい」
男「ええ、目の前で狐の耳を生やしてくれました」
婆「そりゃすごいねぇ……で? その娘の事をどう思っているんだい?」ニヤ
8:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/28(火) 13:05:37.53 ID:ixm4jMg20
男「こんにちは、神様」
女「こんにちは……あら?」
男「どうしました?」
9:名無しNIPPER[sage]
2015/07/28(火) 13:12:28.52 ID:htGvI1Bs0
紫煙
10:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/28(火) 18:09:38.60 ID:ixm4jMg20
男(風変わりな甘党の神様……女さんと話している時間は楽しい)
男(しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう)
男(時間とは残酷なものだ)
11:名無しNIPPER[sage]
2015/07/28(火) 20:07:49.04 ID:xj0hW9hbO
とてもいい……
好きな雰囲気だ支援
12:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 10:39:43.31 ID:iBbZOZDx0
ミーンミンミーン……
男「こんにちは、今日も良い天気ですね」
女「こんにちは」ニコ
13:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 11:40:45.05 ID:iBbZOZDx0
男(……昼寝したせいで、全然寝れない)
男(いや……違う。本当は分かってるんだ)
男(もう、別れがすぐそこまで迫ってきている事を)
14:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 13:20:39.18 ID:iBbZOZDx0
男(……寄ってくれ、って頼まれたし、いつも通りの時間でいいかな? でも祭りまで時間が余るぞ……)
男(まあいいか、その分話せるし)
男「……よし、行こう」ガラッ
15:名無しNIPPER[sage]
2015/07/29(水) 14:25:11.91 ID:MLogO3zAO
こういうのほんと好き
16:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 15:52:41.14 ID:iBbZOZDx0
男「はぁ……クーラーが効いて涼しいなぁ」
婆「おや、そろそろ祭りが始まるんじゃないかい?」
女「あら、もうそんな時間……」
17:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 16:38:17.33 ID:iBbZOZDx0
女「……? これはどうやって飲むのでしょう」
男「ああ、こうして」ッポン!
女「なるほど……ふっ!」ボン!
18:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 17:13:08.33 ID:iBbZOZDx0
男「ああ、そろそろ花火か」
女「男さん、その」
男「?」
19:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 17:15:25.29 ID:iBbZOZDx0
「――月が綺麗ですね」
20:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 17:28:59.99 ID:iBbZOZDx0
その瞬間、最後の特大花火が夜空を照らした。
オレンジ色に染まる空の下、二人の影が重なり合った。
21:名無しNIPPER[ saga]
2015/07/29(水) 17:52:37.35 ID:iBbZOZDx0
ザアァアァアアァ……
男「ふわぁ……まだこんな時間か……早起きしたなぁ。通り雨みたいだし、すぐ止むだろう」ピシャッ
男(やっと女さんと両想いになれた……おかげさまでぐっすりだ)ニヤニヤ
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