過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
1- 20
13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:26:01.02 ID:kiKX5uP40
(視界がひらける。空の青に対を成す青海を飲み込むような巨大な港。この国の海路の最大拠点。この都市の――領主の富の源)

(居並ぶ建物のうち、侍従Eの示した一つに入る。目当ての人間は現場に出ているらしかった。波止場に向かう)

(小舟を連ねた一角。そのうちの一艘で積み荷を運ぶ男――懇意の商会の主。自ら現場に出るのは、本人の気質によるものだという)
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:26:55.09 ID:kiKX5uP40
――領主居館――

(侍従Eとは港で別れ、居館に戻る。広い玄関に這入ると、男の一団と鉢合わせた)

男=上質な衣装=領主(?)「おや、いったい何処においででしたかな。神官様の具合はいかがかと、これよりお見舞い申し上げようと思っていたのですが」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:27:23.03 ID:kiKX5uP40
(領主がこちらを見る。周囲の男たちが一気に緊張する。懐に手をやるもの、手を腰の後ろに隠すもの。合図に即応できる態勢に入っている)

(領主の落ち窪んだ眼が俺を観察している)

「今までは不運にも、こうして近しくお話する機会がございませんでしたが、領主殿と祖父は親しい間柄だったのですよね? 領主殿さえよろしければ、是非、祖父の存命中のお話をお聞かせ下さいませんか」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:27:52.41 ID:kiKX5uP40
――領主居館・裏口――

騎士「待て、貴様、宴に出ないとはどういうことだ!」

「静かにしろ。俺達がこんな所にいることがバレたら面倒なことになる」
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:28:57.19 ID:kiKX5uP40
(外に出る。領主邸宅は城壁にほど近い。すぐに城壁に辿り着き、そのまま城壁を抜ける。行く手広がる森。その前に人影、こちらの姿を認めると一礼する)

外套=侍従E「準備は完了しています。が、森に潜む者たちが、こちらに気づきました」

「奴らの使う予定だった門を使ったのだから、当然だな。――やれ」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:31:51.48 ID:kiKX5uP40
(一件落着。馬車に近づき、幌をめくる)

(夕日が当たる。鉄格子の中身があらわになる。饐えた匂いに顔をしかめる)

騎士「……金髪。長い耳、碧い瞳。そんな……」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:32:49.12 ID:kiKX5uP40
(勇者に振り向く。背後から物音(引き摺った音……土を蹴った?)――衝撃。首に食い込む腕。肉感のない、骨と皮の感触)

女の声「『勇者』? 『勇者』、『勇者』……私達を地獄に落とした、死神の名前! お前のせいで、私達は……!」

(身構える勇者と騎士。視界の端で従者Eが構えた。小さく右手を挙げて制する)
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:41:26.56 ID:kiKX5uP40
虜囚エルフ「父を殺されたくなければ股を開けと――卑猥な、下劣な事を無理やり言わせて、少しでも抵抗すれば父を刺して! 気が済むまで弄んで、挙句父を殺した! 母を、姉を何処にやったんだ! 眼を塞いで、耳を塞いで逃げた、私を捕まえて、私も、私も――!」

騎士「黙れ! 黙れ、黙れ黙れ黙れ! それ以上喋るな! 私は……違う、私は、そんなことはされていない、誰にも、誰にも、そんなの、嘘だ、違う! 嘘だ! あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ! 嘘だ、嘘だ、やめろ!」

勇者「(…)!? どうしたんだ!?」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:42:53.46 ID:kiKX5uP40
(剣を取り落として、違う、違うと呟く騎士。今のうちに虜囚をなんとかしよう)

「命乞いだ。俺はここで死ぬわけにはいかんからな。おい、俺の命以外ならなんでもいいぞ。望むなら、そこのいけ好かない男の首でも何でもくれてやる」

(首に加わる力が弱まる。虜囚の衰弱がひどい。自棄を起こして自爆的な行為に出ないとも限らない。さっさと落ち着かせよう)
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:43:22.22 ID:kiKX5uP40
――――
――

【私は憂えている。百年前、私の祖先が魔王を打倒し、世界に安寧をもたらした。世界のあちこちで人々を苦しめていた闇を払い、光で満たした。勇者の末裔として、私は彼が誇らしい】

以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:44:11.37 ID:kiKX5uP40
「よし。お前の演説はすべて筆写している。これで明日には王国全土に行き渡る」

(湧き上がる歓声を背に、男が壇上から降りてくる)

男=勇者「これで、本当に上手くいくのか? こんな、ただの言葉で」
以下略



29Res/36.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice