20: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:25:20.91 ID:QvQsG1d2o
「私、穂乃果と違って優しいから教えてあげましょうか? その居心地の悪さの原因」
「……聞きましょう」
真姫が指を組み、椅子の背もたれに身体を預ける。わざとらしく足を組み、高圧的な姿勢を取る。
21: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:25:58.07 ID:QvQsG1d2o
「それが引け目に繋がっていると?」
「まぁ、そうね。例え話になるけれど、あなたと穂乃果が同じ大学を目指していたとして、あなただけ滑ってしまった、みたいな感じよ」
「その通りだとすれば確かに引け目は感じるでしょうが……。ですが私たちは結局、別々の道に進んだ訳ですし」
22: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:26:38.34 ID:QvQsG1d2o
「あなたは失敗したのよ。それぞれが別の道に進めば、自ずと成長できるだろうとか思ってたんじゃない?」
「……そう、かもしれません。あなたの言うとおりに、私は」
穂乃果には私が必要なのだと思っていた。穂乃果に頼られることが嬉しかった。穂乃果を律することが私の役割だった。
23: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:28:07.37 ID:QvQsG1d2o
「あなたは穂乃果に引け目を感じている。原因はあなたが大人になれていないから。それで、あなたはどうしたいの?」
私が、どうしたいか。私は、どうしたかったのだろう。
真姫は私が失敗したといった。恐らく、それは真姫の語った中で唯一の間違い。
24: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:28:46.14 ID:QvQsG1d2o
「真姫、ありがとうございます」
頭を下げる。穂乃果とあったことで生まれたしこりが解れ、朝起きた時よりも思考がクリアだ。
やるべきことも決まった。
25: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:29:13.65 ID:QvQsG1d2o
世の中には親友を越える関係がある。恋人だとか、家族だとか。
私と穂乃果と、そしてことり。私たちの関係性は親友という枠組みに収まっておらず、家族というものに近かった。
親、だったのだ。私は、穂乃果の親のような役割を担っていた。
26: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:29:42.94 ID:QvQsG1d2o
ふらり、ふらりと街を歩く。
この前とは違い目的はある。目的地、といったほうが良いか。
夕暮れ時。多くの人が混じりあう駅前。そこに近づくにつれて、聞きなれた歌声が届いてくる。
27: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:30:13.87 ID:QvQsG1d2o
「ありがとうございましたー!」
その言葉を皮切りに、人がまばらに散っていく。中には穂乃果に声をかける者までいた。
熱心なファン。そういえば、μ'sの時にも、穂乃果はそういう人に恵まれていた。
28: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:30:41.40 ID:QvQsG1d2o
「お疲れ様です、穂乃果」
マイクとスタンドを片付け終えた穂乃果に声をかける。
「あ、海未ちゃん。来てたんだ」
29: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:31:12.38 ID:QvQsG1d2o
少しだけ値段の張るレストラン。チェーン店ではなく、それなりの格調があるところ。
かといって過度に上品というわけでなく。大学生の私たちでも気兼ねなく入れる場所だ。
雑談を交えながら料理を注文する。さっきの歌はどうだったとか、新しくできたファンのことだとか。
30: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:31:39.03 ID:QvQsG1d2o
「私は、あなたと一緒にいたかったんです。でも、それじゃ駄目だと思ったんです」
「うん」
「だから、進路のことも聞きませんでしたし、言いませんでした。その方が私たちにとっていいことだと思ったからです」
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