過去ログ - 前川みく「ハンバーグが鳴く頃に」
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2016/03/22(火) 11:46:58.22 ID:6MxfTFCf0
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 「それにしても、蘭子ちゃんが絶賛するぐらいだから……きっと、相当美味しいんだろうにゃ〜」 
  
 「心して待つが良い。決して、後悔はさせぬ」 
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:49:33.45 ID:6MxfTFCf0
  
 「うぅ……」 
  
  そうして、蘭子が小さく呻きを上げる。 
  なるほど、ここに来てようやくみくにも、彼女が何を悩んでいたのか合点がいったのだった。 
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:51:54.72 ID:6MxfTFCf0
   
 「な、中々の雰囲気……にゃ」 
  
  そんなみくが呟いた、震える声の強がりは、 
  周りの木々に吸い込まれるように消えていき、後には言いようのない静けさだけが残った。 
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:52:26.20 ID:6MxfTFCf0
  
  二階建ての石造りの壁には苔が茂り、長年の雨風によって風化した屋根や玄関の柱が、 
  古くからこの場所に建物が建っていた事を示しており。 
  
  入り口の前に置かれた、メニューの紙が張られたブラックボードがなければ、誰もここがレストランだなんて思うまい。 
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:54:16.66 ID:6MxfTFCf0
 === 
  
  からんからんと、入り口の扉につけられた呼び鈴が、意外にも小気味いい音を響かせる。 
   
  一歩店内に入ってみると、そこはホールとなっており、タタミ何畳分と言えばいいのか…… 
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:55:46.91 ID:6MxfTFCf0
   
 「いらっしゃいませお客様。三名様でよろしいでしょうか?」 
  
  その言葉に、隣に立つ彼女が「はい」と返事をする。 
   
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:58:06.37 ID:6MxfTFCf0
  
 「あ、あのさ……ここって一体、どういうレストランなの?」 
  
 「どういうって、普通のレストランですよ。あぁでも、少し変わってると言えば、変わってるかも」 
  
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 12:00:22.88 ID:6MxfTFCf0
   
 「それじゃあ、私は『闇夜のハンバーグ』で……みくちゃんは、どれにするの?」 
  
 「えっ? え、えぇっと、みくは……」 
  
22: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 12:01:45.78 ID:6MxfTFCf0
   
 「――もし決めかねてるのなら、『びっくりハンバーグ』がいいと思いますよ」 
  
  対面に座る彼女が、そう言って微笑んだ。その姿に、みくはドキッとして唾をのむ。 
   
23: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 12:06:25.25 ID:6MxfTFCf0
   
  だが、ハンバーグ自体に違いはない。 
  大きさも同じぐらいだし、ソースの色も変わらない……いや、ちょっと待てよ? 
   
  どうやら、二つのハンバーグでは、付け合せの野菜の種類が違うらしい。 
24: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 12:11:39.62 ID:6MxfTFCf0
   
 「いただきます!」 
  
  そんな事を考えていると、先に彼女がハンバーグを食べ始めたので、 
  みくもその声につられるようにテーブルの上からナイフを手に取った。 
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