21: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:21:52.39 ID:9fy5FiS10
洞窟の奥。
通路のような空間の先、広場のような大きな空間に、私たちは辿り着いた。
雰囲気でわかる。きっとここが、獣の洞窟の最奥なんだ。
22: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:22:37.71 ID:9fy5FiS10
優希ちゃんの体は、ボロボロだった。
着ている布は裂け、肌には傷がいくつもついている。
優希ちゃんの呼吸は荒く、結んでいた髪も解けてしまっていた。
重症、ではなさそうだが、酷い状態だ……
23: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:23:41.02 ID:9fy5FiS10
「きっとあの怪物の正体は、オオイワモグラだな。図鑑の絵と説明と合致する」
「大岩土竜?」
24: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:24:37.38 ID:9fy5FiS10
要するに、優希ちゃんは京ちゃんの旅立ちを意地でも食い止めるつもりのようだ。
はぁ。
成程なあ。
25: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:26:11.11 ID:9fy5FiS10
「京ちゃんは死んだの!? 死んでないでしょ!! じゃあ、京ちゃんのいない世界にはならないでしょ!!!」
「……でもでもでも! 二度と会えないかもしれないんだじぇ!!?」
26: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:27:46.88 ID:9fy5FiS10
「京太郎を見つけると、いつも隣に咲ちゃんがいたじぇ」
「ま・仲良いですから」
27: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:28:43.65 ID:9fy5FiS10
グオオオオオオオオ……!
形容しがたい邪悪な叫びが、洞窟に響き渡った。
それは怪物が目覚めた証明に他ならない。
28: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:29:56.82 ID:9fy5FiS10
「戦うしかないみたいだな……」
京ちゃんが声を搾り出した。
そんな……あんな怪物と戦うだなんて……!?
29: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:30:53.71 ID:9fy5FiS10
――そうだ。
京ちゃんは覚悟を決めたんだ。私たちを守って自分が戦うと。
私たちが力も無いのに加勢すれば、さらに苦戦を強いられる。そしてそれ以上に、京ちゃんの誇りを汚す事になる。
それは、あってはならない事だ。
30: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:31:43.50 ID:9fy5FiS10
お前も 山の上に咲く花のように 強く――…
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