過去ログ - 吹雪「はやく辞めてくださいよ司令官」 提督「吹雪さんこそ」
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1: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:31:32.83 ID:80yP8BrP0
どうもこんにちは
ちょっと書き途中の作品の息抜きしようと思ったら長くなりすぎて息抜きとは
そんな感じの作品です

「あー、ヒマ」

 わずかな仕事を片付けた提督が港に出ると、駆逐艦娘の吹雪がタバコを吸っていた。艦娘なので年齢その他は問題ない。問題はないが、見た目はよくない。なにせセーラー服を着た中学生くらいの少女なのだ。
 すでに提督と吹雪が出会って7年が経つ。が、彼は年を重ねても、彼女の容姿は変わらない。艦娘とはそういうものだ。

「吹雪さん、あまり外でそういった姿を見せるのは」
「はー、司令官。もうそういうのいいじゃないですか」

 吹雪は投げやりな口調だ。指先を動かして灰を落とす。

「戦争、終わったんですし」

 最後に一口吸って、吹雪はタバコを海に投げ捨てた。

「いまさらイメージ戦略でもないでしょ」

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2: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:33:32.17 ID:80yP8BrP0
 艦娘と深海棲艦との決戦は2年前に終わり、海は平和となった。
 そして艦娘たちはヒマになったのである。
 多くの艦娘は艤装を軍に返し、人間として生きることを選んだ。彼女たちの給料はとてもよかったが、使うアテもなかったので貯金はたまっており、退職金もかなりの額が出たので、彼女らは自由に自分たちの人生を選ぶことができた。

(我々は人造の生命たる艦娘たちに、人類の盾であることを押し付けた。しかるべき報酬を彼女らに支払い、人として過ごすことをできるようにはからったのはしかし、ただの後ろめたさであったとは考えたくない)
以下略



3: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:34:43.15 ID:80yP8BrP0
「変になったんじゃなくて、変だと言ったんです」
「へー、どのへんですか?」
「……何度も言いましたが、吹雪さんがここに残るとは思っていませんでした」
「へー、そうなんですか?」
「ずっと言ってたじゃないですか、戦争が終わったら、食べ物屋をやりたいって」
以下略



4: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:36:54.59 ID:80yP8BrP0
「ずっと思ってたんですけど向いてないです。もっと戦いを楽しめる人でないと。その割にはがんばっていましたけどね」
「……言われ放題ですね」

 向いていないのはわかっていた。自分は戦争が嫌いなのだ。
 しかし、それを言うのなら彼女も同じだと思う。
以下略



5: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:37:31.55 ID:80yP8BrP0
「まだやることが残っているんですよ」
「ははあ。奇遇ですね。私もそうです」
「……初耳ですが」

 何度聞いてもはぐらかされてしまった話題に、急に踏み込めてしまったことに戸惑う。
以下略



6: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:38:46.58 ID:80yP8BrP0
2年前

「陽炎ちゃん、荷物のまとめ終わった?」
「終わってる終わってる、3時間で終わったよ。やー、わたしのこの4年間って一体なんだったのかしら」
「あはは、狭い部屋だからね。荷物もたまらないよ」
以下略



7: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:39:47.75 ID:80yP8BrP0
 不知火は陽炎の姉妹だ。吹雪は基本的に陽炎とコンビを組んでいたが、駆逐隊が必要な時は二人と出撃することも何度もあった。
 仲のいい二人が一緒に過ごすことができるようになって本当によかった、と吹雪は思った。このときまでは。

「PMSCに入ります!」
「……は?」
以下略



8: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:41:28.46 ID:80yP8BrP0
「なんか会社が独自開発した艤装のテストもするんだって」
「ええー、いいのかなそれ……」
「だいじょぶだいじょぶ、提督もちゃんと調べてくれたところだから!」
「そ、そうなの? それならいいけど……」

以下略



9: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:42:33.04 ID:80yP8BrP0
「で、吹雪は料理屋さんだっけ。レストラン? 食堂? ラーメン屋? 吹雪はなんでも作れるもんねー」
「そ、そんな大げさだよ。まだ決めてないし……しばらくはここにいて、色々と勉強するつもり」
「そっかそっか。いつごろ卒業するつもりなの?」

 卒業、というのは艦娘たちの間で流行った退役を表す言葉だった。
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/07/02(土) 15:45:02.81 ID:xT7lbctPO
吹雪も提督も平和になって二年も経つのにいる
二人ともにやり残したことがある
なるほど二人とも結婚しちゃえばいい


11: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:45:16.86 ID:80yP8BrP0
「やっと会えた! 陽炎でーす!」
「こんにちは、陽炎さん。……今日でしたね」

 元気に執務室に(ノックせずに)入ってきた陽炎を、提督は穏やかな声で迎える。今までは日常だったこの挨拶も、これが最後だ。

以下略



12: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:46:10.41 ID:80yP8BrP0
(深海棲艦の正体は未だにわかってはいないが、人間の行いが彼らを生んだという説は多く、根強い……。私たちは艦娘を自分たちの罪に対する盾だけでなく、この上に人が重ねる罪を裁くことすら任せている)
「あ、提督がまた変なこと考えてる」
「考えてません。……私が語れる言葉は多くありません。お気をつけて」
「はいはい。了解でーす」

以下略



13: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:46:47.76 ID:80yP8BrP0
「提督は軍に残るそうです」
「本当ですか……! 大和さん」

 吹雪と長身の女性、戦艦娘である大和は鎮守府の食堂で会話していた。
 かつては大勢の艦娘で賑わっていた昼時になっても、今はもう4人がまばらに座っているだけだ。まだこの鎮守府に在籍している艦娘はいるが、彼女らは退役後の自分たちの身のふりで忙しい。
以下略



14: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:47:30.26 ID:80yP8BrP0
 大和はそんな吹雪を見て、安心したように笑う。

「そう言うと思っていました。吹雪ちゃんがそばにいれば100万人力です」
「えへへ、ありがとうございます」

以下略



15: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:48:19.59 ID:80yP8BrP0
「大丈夫です! 私が司令官をお支えいたします!」
「はい。よろしくお願いします」

 両手こぶしをにぎって、吹雪は決意を表した。その姿に、大和は頭を下げる。
 この世に産まれ出た実年齢という意味では実はさして差がないが、二人はお互いを姉と妹のように思っていた。
以下略



16: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 15:48:52.05 ID:80yP8BrP0
「……あの、司令官は退役されないのですか」
「そうですね。残務を片付けないといけませんから」
「そうですか」
「吹雪さんは……どうして残るつもりに?」

以下略



17: ◆36ujqGfUl2[sage saga]
2016/07/02(土) 16:03:40.00 ID:80yP8BrP0
というあたりで続きどうしようかなと考え中です
陽炎改二が出るか息抜きしたくなったらまた続きを投稿すると思います


18:名無しNIPPER[sage]
2016/07/02(土) 17:49:12.67 ID:qzfeihxE0
おつ


19:名無しNIPPER[sage]
2016/07/02(土) 20:40:33.30 ID:yGpZkCtN0
期待


20:名無しNIPPER[sage]
2016/07/02(土) 23:29:03.31 ID:BaVaGLImo
おつー


21:名無しNIPPER[sage]
2016/07/03(日) 00:42:04.26 ID:H/eoEj3wo
これはいい


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