957:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:29:57.74 ID:IzyndCNto
  
  僕はここに至るまでの道筋を思い出そうとする。 
  
  始まり。すみれに誘われて黒いドラッグスターに乗って街を駆け抜けたときのこと。 
  碓氷遼一と生見小夜の姿を見たあのときのこと。 
958:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:30:36.08 ID:IzyndCNto
  
  ミラーハウスの鏡が砕けていく、そんなイメージが流れ込んでくる。 
  鏡の破片のひとつひとつに、僕が出会った人々の顔があった。 
  愛奈、穂海、すみれ、あさひ、ざくろ、沢村、碓氷遼一、名前も知らない誰か。 
   
959:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:31:28.07 ID:IzyndCNto
  
  ふとした瞬間まばたきをして、目を開けたら、僕の目に飛び込んできたのは、ひとつの扉だった。 
  
  どうして突然、目が覚めるように体の感覚を取り戻したのか、 
  思考が正常さを取り戻したのか、そんなことは僕には分からない。 
960:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:32:26.73 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
   
961:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:33:01.30 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  僕は、もといた世界に戻っていた。 
  すみれと旅に出る前にいた、あの当たり前の日常の世界に。 
962:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:33:43.66 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
  まずは家族に、次に警察に、それから学校に、バイト先に、それぞれ事情を聞かれた。 
963:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:15.16 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
  隣町で殺人があったとの報道が、連日ワイドショーを賑わせていた。 
964:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:34:54.46 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
   
  周囲は、僕のことを腫れ物かなにかのように扱った。 
965:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:35:30.81 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
   
  久し振りに部室に顔を出すと、相変わらず物静かそうな部員たちがこそこそと何かを話していた。 
966:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:36:35.85 ID:IzyndCNto
  
 ◇ 
  
  
  部室のドアがノックされたのはその会話の少しあとのことだった。 
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