31: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 02:28:14.70 ID:ryABOIXv0
この三人とは、小学生の頃から知り合いである。それだけでなく、例の一件があるまでは中学生になっても毎日のように一緒にいたような仲だった。この中の誰かに会うだけで気分が良かったし、高揚感があった。なにをするわけでもないような遊びでも、四人ならなんでも楽しく感じた。生涯手放したくない仲間たちだと、男は心の底から思っていた。しかし、今は顔を合わせるだけで、自己嫌悪感といたたまれない気持ちで胸が張り裂けそうになる。本音を言ってしまえば、会いたくないという素直な表現が正しいだろう。
四人とも無言のまま足だけが動き続けていた。無心で歩みを進めていると、辺りは見覚えのある景色になっていた。幽霊公園の目の前だった。
32: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 02:34:21.43 ID:ryABOIXv0
昔は、どんなに真面目な話をするときもどんな遊びをするときでもここに集まっていた。この幽霊公園に足を運ぶたびに、男の脳裏には過去の思い出がくっついて離れなくなる。
四人とも口を開かないままベンチに腰をかけた。
男B「俺たちさー、男と話がしたくてさ。ずっとお前と話したいことがあったんだよ。中学生2年生の冬から、俺たちの時間だけとまってただろ」
33: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 02:38:28.09 ID:ryABOIXv0
全てを話せば、自分は解き放たれるのだろうか、三人は納得するのだろうか。何から話せば良いのか、どんな言葉を紡いだらいいのか、不意に男の頭の中は整理が追いつかなくなっていた。
男A「なぁ! 黙ってないで俺らに話せよ、お前のこと」
男B「俺は未だに信じられないんだよ、お前がいきなりあんなことするなんて」
34: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 02:50:01.09 ID:ryABOIXv0
男B「あんなことしただけじゃなくて、なんかお前自身も変わっちゃったよな。なにがあったのか俺は知りたい。全部を教えてくれよ」
男A「最近までお前とは縁を切ったつもりでいた。でも、俺はお前を昔から知ってる。男ってやつは優しいんだよ、俺の中では」
女「私もそう思う。だから、だからこそ男がよくわからないよ」
35: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 02:51:01.06 ID:ryABOIXv0
一旦切ります
36:名無しNIPPER[sage]
2016/08/31(水) 10:35:14.36 ID:d+6d80/s0
早く書いてくれよ
37: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:10:42.71 ID:ryABOIXv0
その日はなぜだか家にすぐ帰るのも嫌で、コンビニを転々として日が暮れるまで時間を潰した。
少し前までの猛暑が信じられないくらいの涼しさ、消えていく湿気、そして澄んだ空気。空を見上げれば、曇り一つない空に星が広がっている。空気が澄んでいるおかげか、空が高く見える。
男は、自宅の前の道が昔からひどく嫌いである。なぜなら、その道だけ街灯がすくなく、夜になると視界が悪いので、なんとなく不吉な予感がしてしまうからだ。いままで特に何かあったことはないが、基本的に怖がりな男としてはそれだけでも十分な理由だった。その道に差し掛かった時、少し先に人影があるように見えた。
男(なんだろ。本当に幽霊とかだったらどうしよう)
38: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:21:29.20 ID:ryABOIXv0
怖いもの見たさでそこに佇む人影を男は見つめた。そして、一歩一歩刻むように距離を縮めていった。
−−おかえり
突然人影が声を発した。男咄嗟に少し身を引いた。何事だろうと思い、様子を伺った。
女「そんなに怖がらなくてもいいんじゃないかな」
39: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:32:06.02 ID:ryABOIXv0
女「君の帰りを待ってたんだよ、男君」
女はなぜだか得意げな顔でにやりと笑った。
男「待ってた、って……。俺が帰る時間なんてわかんないのによく待ってたな。それなら自分の家で待ってればよかったのに」
40: ◆XRfrZgs14Q[saga]
2016/08/31(水) 15:44:42.24 ID:ryABOIXv0
暫しの沈黙が続いた。女はかなり緊張しているようだった。男も女が口を開くのを促すわけでもなかった。
−−話せるようになったらでいいよ。と言うと男は空を見上げた。ずっと前しか向けない人間は、この星空を見ることができないんだろうなと思った。冬になれば、もっと綺麗で研ぎ澄まされた満天の星空をみることができる。この道で前ばかり向いていたら、一生涯空の世界に広がる何億以上もの光を拝むことができないのだろう。
女「私ね」
41:名無しNIPPER[saga]
2016/08/31(水) 16:02:18.25 ID:ryABOIXv0
女「君は私の事を友達と言ってくれたね。ある程度は私に心を開いてくれたのかな、って思った。その時にはもう君を好きだった。友達じゃなくて恋人になれたらな、なんて思ってたよ」
男「なんていったらいいのかわからない……。強いて言うなら、女みたいな容姿的にも内面的にも異性から人気がありそうな奴が、どうしてこんな陰気くさい男を選ぶのかってくらいだ」
女「君は自分に自信がなさすぎるよ」
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