過去ログ - 時子様「豚とダンス」
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15: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:22:22.35 ID:7ab73rSh0
「時子様っ! オーディションどうでしたか!」

 オーディション参加者用の待合室を出ると、廊下の奥から豚が小走りで駆けてきた。
 私をずっと待っていたのだろう。こういうところは家畜らしくて可愛いわね。

以下略



16: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:24:42.68 ID:7ab73rSh0
 車に戻ったら、話の続きをしてあげなければならない。
 もちろん、私もあの豚に何かを期待してるわけじゃないわ。
 私一人でどうにかならないことなんてないし、だからプロデューサーも必要ないと言える。

 でも、この世界で上を目指すには、まだまだ足りない。
以下略



17: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:33:11.75 ID:7ab73rSh0
「おうこら、さっさと帰りやがって」

 ふいに、そんな声が背後から聞こえた。

「……?」
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18: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:34:36.75 ID:7ab73rSh0
 私が殺気を放ったせいで、全力が出せなかった?

 ……思い起こしてみれば、なるほどね、確かにぶるぶると体を震わせていたあれは、緊張じゃなくて私を恐れていただけだったのかもしれないわね。

「はぁー」
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19: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:36:24.94 ID:7ab73rSh0
 ――他人の邪魔、ね。
 アイドル活動なんて、他人を押しのけなくちゃやっていけないと思うんだけど、それをこの女に言ってもどうせ通じないわね。
 ……ここは、甚だ不本意だけど私が折れるしかない。

「ふう」
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20: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:38:19.15 ID:7ab73rSh0
 ――さて。
 嵐は去ったことだし、そろそろ豚のところへ行ってやろうかしら。
 ここで待っていても現れないようだし。本当に気が利かない――、

「あら」
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21: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:40:25.63 ID:7ab73rSh0
 帰りの車では会話なし。
 豚の言葉が、腹立たしいことに気になって、話の続きをする気になれなかった。

 事務所に着き、車を降りると、私は事務所の一室へ、豚は慌てて会議室の方へ向かっていった。
 そうして半刻ほどソファで寛いでいると(そして物思いに耽っていると)、法子から声がかかった。
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22: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:42:07.07 ID:7ab73rSh0
「時子さん。もしかして、何か悩みとかありますか?」

 ふいにそう言って法子は私の隣へと座り、残ったモチモチリングを頬張る。

「何よ急に」
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23: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:43:31.14 ID:7ab73rSh0
「――あはは、なんとなく悩み、わかりました」

「そんなものないって言ってるんだけど?」

「時子さん。こういう時は、喋るしかないんです、きっと。プロデューサーさんと。とことん喋りましょう!」
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24: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:46:53.13 ID:7ab73rSh0
 豚は部署の週間ミーティングを終えたところだった。
 会議室の前で待ち伏せし、現れた豚は、私の顔を見ると驚きの表情を浮かべた。

「何よ、豚」

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25: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:48:12.97 ID:7ab73rSh0
「た、確かにそうなんですけど、あの、ただ疑問に思っただけなんです、あれは。どうして時子様が向井さんの言われるがままになってるのか」

 あぁ、あの女、向井っていうのね。

「質問なら、まぁ答えてやるわ。あの女が面倒になっただけよ」
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