過去ログ - 千歌「会ってみたいのっ! 伝説のポケモンマスター、高坂穂乃果さんに!」
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51:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:22:49.40 ID:uYqhyxH10
 おそらく、「続けて」と「空に」という指示は独立した二つの指示だった。続けてと言った時にすなかけ用の砂を掴み、空へ飛び上がって攻撃の準備へと移った。砂は飛び上がって頂点へ達した時に上から落とすようにして既に放たれていたのだろう。

 すなかけという指示を出さずとも、一連の流れで暗号のように、プログラムされている。優れたトレーナーならば当たり前のように実行することだが、それにはポケモンとトレーナーとが通い合っていないと上手くはいかない。攻撃の度技の指示をしていたのではレベルの高いもの同士になるとどうしても読まれてしまう。そうさせない程ポケモンを鍛える、という荒技を行使する人間も中にはいる、が。


以下略



52:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:24:38.30 ID:uYqhyxH10
 ジムの待合室でそわそわと結果を待つ千歌に対して、ホールから出てきた曜は、満面の笑みを浮かべて「勝ったよ!」と一言。新品のバッジを千歌の目の前で輝かせていた。曜の笑顔もいつもより輝いて見えて、千歌自身も心の底から祝福をした。

 小さい頃からの夢、それが身近になった気がしていた。


以下略



53:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:28:46.14 ID:uYqhyxH10
 モンスターボールから出現したポケモンは、一番最初にこのホールで見たポケモンと同じだった。大きな存在感をもふもふの綿を揺らしながら、宙をゆらゆらと彷徨ったあと、地にふわりと着地した。

千歌「エルフーン……よし、タイプ相性はばっちり……!」

 矢澤にこ、タイプフェアリーのエキスパート。炎タイプのアチャモはフェアリータイプの技が効きにくいため、有利に試合を運べるという予測だった。加えてにこのエルフーンは草タイプ、これ以上ない条件に、勝利の扉が、見えた気がした。
以下略



54:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:30:58.26 ID:uYqhyxH10
千歌「ここまで距離があるのに……それにやどりぎのたねはどこに……」


 アチャモのすなかけが発動するよりもさらに早く、エルフーンは指示された技を連続、かつ高速で繰り出してみせた。千歌はしびれごなに気を取られ、すでに一つ目の技に意識が向いていない。

以下略



55:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:33:16.52 ID:uYqhyxH10
 千歌の髪の毛がふわりと揺れる。空調はそこまでの強さで効いてはいない。だとしたらこの風は……。


 千歌が気がついた時には、瞬間の突風と化した空気が――アチャモの小さな身体を押し返していた。それがエルフーンの放ったフェアリータイプの技であると気がついたのは、アチャモが動こうとした時、そして痺れたような表情を浮かべた時だった。

以下略



56:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:34:33.09 ID:uYqhyxH10
 一体目のプリンを下したことで、若干油断していたのは本人が一番わかっていた。だからこそ気持ちを締め直したつもりが、予想通りのエルフーン……タイプ相性ばっちりの組み合わせに、締めた兜の音がほつれてしまっていた。


 ごくっ……。嚥下する唾液すらも、今は重い。大丈夫、大丈夫だと、悪い意味で高鳴ってきている胸を落ち着かせる。ジムリーダー、にこの放つ重圧が、これまで経験したことのない千歌の精神を削っていく。

以下略



57:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:36:49.66 ID:uYqhyxH10
 鋭利な爪を砂塵が敷きつめられる土のコートに食い込ませ、突風の中で体勢を保ち続ける。

 短い突風の中で千歌は状況の打開の為に思考をフル回転させていた。ようせいのかぜが吹かれる中で、ひのこで対抗するのは少し辛い。ダメージが大きくはないとはいえ、連続ダメージ、そしてリーチ無視であるからこれ以降も何発かは食らってしまうだろう。やはりアチャモが接近してひのこを放ち、それを致命傷とさせるしか、ない!

エルフーン『ふぅん……』
以下略



58:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:38:42.63 ID:uYqhyxH10
 突風が巻き起こる。砂塵でぎしぎしになった髪の毛が暴れるのを押さえ付けて、アチャモの様子を見守る。この場面を打開するには、同じく遠距離攻撃であるひのこに頼るしかない!


 ひのこを身体の中でめいっぱい貯めることで威力と速度を上昇、エルフーンの風が弱まったその時に――。

以下略



59:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:41:20.75 ID:uYqhyxH10
 勝利の扉が見える、そして、開きかける。番人が斧を置き、身を譲る。横には親友の曜がいて、「勝てたね」なんて言って笑いあって、一緒にその扉の向こうへ……そんな、そんな光景が見えた――気がした。


 詰みの一手を放たれたはずのにこだが、その瞳では静かな炎を燃やしていた。状況を分析、その結果、瞳に映るのは――アチャモがしびれによって動けなくなっている、光景。

以下略



60:名無しNIPPER
2017/01/12(木) 02:43:16.54 ID:uYqhyxH10
 にこが少し目を細めると、ふっとため息一つ。千歌は呆然失然、目と口をまん丸の形にしながら……アチャモが倒れ行くのを、見ていることしか出来なかった。


「アチャモ、戦闘不能! 勝者、ジムリーダー!」

以下略



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