過去ログ - 鷺沢文香「燃える彼女がくれるもの」
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5: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:15:01.84 ID:xxHx5Jku0

自分はアイドル事務所に籍を置いている。
というと回りくどい言い方になってしまうのだが、いかんせん"アイドルです"と自己を紹介するには経験も実力も足りていないのだから仕方がない。

この事務所に所属してはや数ヶ月。100人近くを数える先輩アイドルたちは、どこを見ても眩しくて、一番の新人である自分は恐縮しきりの毎日であった。
以下略



6: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:17:01.27 ID:xxHx5Jku0

そんな彼女とは、翌日も顔を合わせることになった。

昨日の会話は、自分が部屋で本を読んでいる時に、プロデューサーが茜を連れてきたことによって始まった。
しかし、この日は逆だ。自分が朝、事務所の部屋に入ると、ソファの上に、なんとも落ちつかなそうな表情の茜が座っていた。
以下略



7: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:17:55.20 ID:xxHx5Jku0

「えっと、アイドルのことは良くわからないのですが、鷺沢さんは、デビューとか、そういうのはまだなんですかっ?」

茜が尋ねる。
そういえば、自分がまだ新米であることすら話していなかった。
以下略



8: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:18:37.11 ID:xxHx5Jku0

しかし、昨日今日と、全ての会話において茜から話を振ってもらっている気がする。流石に話題提供の一つでもするべきか。
そう感じた結果、適当な話題を振ることにした。

「茜さんは、昨日、あの後は何をされていたのですか?」
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9: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:19:26.52 ID:xxHx5Jku0
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ある日の午後、レッスン後にいつものように事務所で読書をしていると、ふいに声が掛かった。

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10: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:20:04.91 ID:xxHx5Jku0

「まあいいわ。あの娘、昨日から本格的にダンスレッスンが始まったらしいんだけど」

「はい」

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11: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:20:45.23 ID:xxHx5Jku0

「しかも、それだけじゃないの」

「え?」

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12: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:21:19.57 ID:xxHx5Jku0

多少の不安を抱えたまま迎えたダンスレッスン。
レッスン室に行くと、既に茜はウォーミングアップを開始していた。

「! 鷺沢さん! よろしくお願いします!!!」
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13: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:21:53.99 ID:xxHx5Jku0

彼女のステップはとにかく速く、豪快で、そのセンスを感じずにはいられないものだった。
トレーナーさんも、時折"走ってますよ"という声はかけるが、おおむね満足気だ。

そこから、簡単な手の振りや、様々なステップを組み合わせたレッスンが始まった。
以下略



14: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:22:44.47 ID:xxHx5Jku0

そうして茜のステップを眺めていると、すぐに休憩の終わる時間が来てしまった。
重い体に鞭打って立ち上がろうとするが、思いの外疲れていたようだ。

「……っ!」
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