159:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:20:40.92 ID:RFehJzWso
マミ「でも地球の運命を握る最前線にしては、ここはあまりにも寂しすぎるよねーっ」
最小限の人員でメンテナンスを受けるキサラギの肩で、
マミは、わざと語尾を大声にして発した。
「ねーっ」という声が、がらんどうの格納庫に響き渡る。
160:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:21:27.71 ID:RFehJzWso
マミの隣で、いたわるようにキサラギの装甲を撫でたのはアミだった。
マミの不満はアミにしてもまったく同意だったが、
しかし今更過去のことをとやかく言っても仕方がない。
自分たちにできるのは、
せめてキサラギにお疲れ様、と言ってあげることくらいなのだ。
161:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:22:42.08 ID:RFehJzWso
突然声をかけられ二人は驚き、
アミに至っては危うくキサラギの上から転げ落ちそうになった。
アミ「う〜、やっぱりまだ慣れないや。
可愛い小鳥から発せられる爺ちゃんのしゃがれ声」
162:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:23:43.15 ID:RFehJzWso
不意に沈み込んだように聞こえた祖父の声。
それに反応したのか、投射された蒼い鳥の姿にザザッとノイズが走る。
アミ「爺ちゃん!」
163:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:24:25.64 ID:RFehJzWso
『マミ……』
アミ「大丈夫。アミたちのことは心配しなくていいよ。
今までありがとう、爺ちゃん……」
164:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:26:25.94 ID:RFehJzWso
フッ、と……。
日が陰って自分の影が見えなくなってしまう時のように、
蒼い鳥の姿はアミたちの目の前から消えてしまった。
依然、メンテナンスの作業音がうるさく鳴り響く中、
双子の姉妹は固く目を閉じ、引き絞った口元を震わせていた。
165:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:27:20.68 ID:RFehJzWso
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ハルシュタイン銀河帝国軍、
地球方面隊最前線基地――通称、黒い月。
166:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:28:51.46 ID:RFehJzWso
キサラギ殲滅作戦の度重なる失敗……その事実に対し、
情報の不足やなぜか厳命された単機での直接攻撃など、
彼女に弁明の余地はいくらでもあったのかも知れない。
だがハルシュタインの前で、弁明や言い訳などはすべて反逆行為となる。
それにもとより、ハルシュタインを神と同位の存在と崇拝するイオリである。
167:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:30:00.02 ID:RFehJzWso
決然とした顔を上げ、イオリはすっと立ち上がった。
その姿を見て、ハルシュタインが小さく鼻を鳴らす。
微かな違和感に、イオリの眉根が少し動いた。
ハルシュタイン「ま、思う存分やるがいい。
168:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:30:49.91 ID:RFehJzWso
マコト「イオリ、君は本当によく戦った。恥じることは何もないよ」
外見と同じ涼やかな声で発せられたマコトの言葉に裏はない。
彼女は心からそう思っているのだ。
しかしだからこそイオリは耐え難い怒りに身を震わせる。
169:名無しNIPPER[saga]
2017/01/25(水) 22:33:14.84 ID:RFehJzWso
ハルシュタインは答えない。
しかしイオリは満足したように背を向けてその場を去った。
どこか優雅にさえ聞こえる足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなる。
マコト「……ハルシュタイン閣下。あなたは一体、何を考えているんです」
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