302:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:24:41.28 ID:4ghH70Iao
だがアミたちはこれをさほど大問題とは捉えていなかった。
その余裕とも取れる現状の認識は、二人が確信した点の二つ目に起因する。
二つ目とはつまり、イオリの操る怪ロボットよりもキサラギの方が強いということだ。
初撃こそ予想外の動きに驚かされたが、
303:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:27:03.40 ID:4ghH70Iao
イオリ「……流石ね。戦ってみてよくわかるわ。キサラギの――希煌石の力が。
この私から、何もかもを奪っただけのことはある……」
イオリのこの呟きは拡声されてはおらず、インカムに届いてもいない。
だから当然アミたちに聞こえるはずはなく、
304:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:28:16.24 ID:4ghH70Iao
イオリ『見せてあげるわ……。“アズサイズ”の本当の力を』
その言葉にアミたちが疑問を持つ間もなく、それは始まった。
怪ロボット――アズサイズの、キサラギとの大きな相違点であった胸部の二つの突起。
それが突然二つ同時に飛び出した……いや、発射された。
305:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:31:27.53 ID:4ghH70Iao
アミマミ「やーいやーい、つるぺたバンザーイ!」
『くっ……!』
敵の切り札もキサラギには通じなかった。
306:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:33:31.22 ID:4ghH70Iao
キサラギの巨体が吹き飛び、アミたちは悲鳴を上げてステアにしがみつく。
背後から蹴り飛ばされたのだと二人が気付いたのは、
地面を転がったキサラギが静止してからだった。
倒れたキサラギのステアに掴まり、アミたちが顔を向けた方向に居たのは、
307:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:34:50.78 ID:4ghH70Iao
イオリ『ふふふ……このアズサイズは閣下より賜った対キサラギ用の決戦兵器。
《常勝の令嬢》と謳われたこの私から全てを奪ったキサラギ……。
この宇宙から塵ひとつ残さず消し去ってくれる!』
マミ「! た、立て、キサラギ!」
308:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:36:47.61 ID:4ghH70Iao
イオリ『さあどうするキサラギ!? このまま一方的に嬲られ続けるだけかしら!?』
返事をすることもできず、アミたちはただただ歯を食いしばって、
振り落とされないようにステアにしがみつき続ける。
309:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:37:56.60 ID:4ghH70Iao
もはや数えることもできなくなったほどに
地面を転がされたキサラギではあるが、機体への損傷はほぼない。
これはアズサイズのパワー不足によるものだが、
今のアミとマミにはそんなことに気付く余裕があるはずもなく、
圧倒的優位に立った敵が少しずつ自分たちをいたぶっているものだと思い込んでいた。
310:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:40:46.22 ID:4ghH70Iao
イオリ『まあ、いいわ。そろそろ終わりにしてあげる』
次のアズサイズの挙動を見て、
アミとマミは頭の片隅で不思議と冷静に、なるほどそういうことか、と思った。
アズサイズの外見のうち、これもまたキサラギとの大きな相違点であった――
311:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:43:00.36 ID:4ghH70Iao
両断を防ぐには、本来であれば今すぐにでも
何らかの対処を打たなければならないのだろう。
しかし疲労と酸欠で頭は鈍り、
また「何をしても瞬間移動で対応される」との無意識的な諦観から、
アミも、マミも、キサラギにコマンドを出すことができなかった。
312:名無しNIPPER[saga]
2017/02/04(土) 01:44:43.62 ID:4ghH70Iao
イオリ「ぁあっ!?」
手に入れかけた勝利が急に霞と消え、イオリは令嬢らしからぬ声をあげる。
そんなイオリを下方から見上げる、四つの瞳。
その瞳には今や、疲労も諦観も、露ほどにも見えない。
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