609:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:45:08.11 ID:kHht+3Bto
アミ「そ……そんなことないよ! 世界に絶望しかないだなんて、そんな……」
ハルシュタイン『ああ、お前たちにとってはそうだろう。地球人の寿命は長くても百年程度。
その程度の寿命であれば、お前たちの生は最後まで無知に満ちたままだ。
だが私は違う。長きを生きるうちに、私はいつしか色を失った。
610:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:47:45.90 ID:kHht+3Bto
ハルシュタイン『まあ……それでも考えようによっては、目的を全く果たせなかったわけではない。
動機が“色”の追求だとするならば、確かに出会うことができたのだからな。
希石という、私の予測を超えた神秘の力に』
と、ハルシュタインがそれまでと変わらぬ調子で話を続ける中、
611:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:49:00.45 ID:kHht+3Bto
ハルカイザーの機体が空間へと吸い込まれ始めるのを見て、
アミとマミの理解はようやく追いついた。
ハルシュタインはあの闇に飲み込まれることで、自らを葬り去るつもりなのだと。
ハルシュタイン『案ずるな。私が消――ば、この空間も自然と消滅――。
612:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:51:45.85 ID:kHht+3Bto
アミマミ「ハルシュタイン!!」
二人は同時に叫び、それに呼応してキサラギが動く。
空間に吸い込まれていくハルカイザーに向かって。
613:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:53:50.22 ID:kHht+3Bto
もはやハルカイザーには、如何なる抵抗の力も残されてはいない。
闇の重力には引かれるがままであり、
またキサラギに腕を掴まれれば、それもまた引かれるがままであっただろう。
が、キサラギにとってそれはあまりに危険であった。
614:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:56:14.08 ID:kHht+3Bto
だが、次の瞬間。
アミマミ「ぅあっ!?」
突然キサラギの機体が強い衝撃を受け、前進の軌道が大きく逸らされた。
615:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 21:58:12.95 ID:kHht+3Bto
そこにはヤヨイが居た。
姿は見えない。
しかし確かに、今キサラギに取り付いている怪ロボットのうちいずれかに、
ヤヨイが搭乗しているのだ。
616:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:00:07.92 ID:kHht+3Bto
アミ「!? ま、待ってよヤヨイっち! 何を……」
ヤヨイ『決まってるだろ? 私は閣下と共に行く。
せっかく助けてくれたけど、お前たちとはここでお別れだ』
617:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:01:25.33 ID:kHht+3Bto
アミたちは焦燥から目に涙すら浮かべ、
自らも怪ロボットを殴り、蹴り、必死で引き剥がそうとする。
ノイズの混ざったヤヨイの声を聞きたくないとばかりに、抵抗の叫びを上げ続ける。
しかし、その叫びと抵抗を、静かな短い言葉が止めた。
618:名無しNIPPER[saga]
2017/03/11(土) 22:05:42.27 ID:kHht+3Bto
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ハルシュタイン「……裏切り者が、なんのつもりだ」
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