過去ログ - 【ミリマス】午前五時よりの使者(なおしほ)
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15: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:56:55.59 ID:IfE//nEu0
また視線を逸らした志保を横目に奈緒は早速弁当箱の蓋を開ける。
中身はさらに奈緒を感動させるものだった。

「おおおお! めっちゃ美味そうやん!?」
「ライブ前ですからあまり濃いものは避けましたけど」
以下略



16: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:57:46.57 ID:IfE//nEu0
「なぁなぁ、食べてもええ?」
「はい。そのためにつくっ……持って来たんですから」
「えへへ。ほな、いただきまーす!」

早速ひと口食べた奈緒。すぐに彼女の歓喜の声が聞こえてきた。
以下略



17: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:58:53.90 ID:IfE//nEu0
「はー食べた食べた。ごちそうさまー」
「お粗末さまです」

弁当の隅まで何も残すことなく奈緒は弁当を食べ終えた。
ライブ前なので多過ぎず、かといって質は高い。
以下略



18: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 21:59:49.71 ID:IfE//nEu0
再び訪れた沈黙の時間。
時刻はまだ朝の六時前。
当然だが、楽屋に二人以外の誰かが現れる気配はない。
志保は暇つぶしの道具をスマホから本へと変え、その正面で奈緒は今日披露する曲を音楽プレイヤーで聞いていた。
互いに干渉することなく各々の時間を過ごしていた。
以下略



19: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:00:38.07 ID:IfE//nEu0
ほとんど眠れていないことと、食事を入れたこと、そして志保と話して心が落ち着いたことが原因だろう。
突然の眠気は、まるでせき止められていた川の水が堤防の決壊で一気に流れ始めてきたかのようだ。

「まだ集合時間もリハも何時間も先ですし、寝ていたらどうですか? 今のうちに少しでも休んでおかないと体力もたないと思います」
「せやなぁ……」
以下略



20: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:01:38.65 ID:IfE//nEu0
「……奈緒、さん? あっ、ソファのほうが寝やすいですよね。すいません、至らなくて」

楽屋のソファは驚くほどフカフカで座り心地がいい。
机に伏すよりもソファなら気持ち良く眠れるかもしれない。
志保はすぐにソファを明け渡そうと立ち上がろうとしたが、すぐに奈緒に制された。
以下略



21: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:03:28.07 ID:IfE//nEu0
「にひひ、やっぱりぴったりや。それに気持ちええなぁ」
「変なことを言わないで下さい! それと私まだいいとは言って……!」
「お願いやー。寝させてー今ならスッキリ眠れる気がすんねん。あとで何でもするからー」

その言葉はズルい。そう志保は思った。口には出さないけれど。
以下略



22: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:04:27.43 ID:IfE//nEu0
奈緒の要望に応えて志保はカバンの中から一冊の本を取り出した。
常にカバンに入れてあるお気に入りの一冊の絵本だ。
この絵本の朗読をするのは志保の弟が小さいころに読み聞かせて以来だった。
表紙をめくり、一呼吸入れてから最初の一文を口に出し始めた。

以下略



23: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:05:29.90 ID:IfE//nEu0
「さっき何でもするって言っていましたよね。……考えておきますから」

絵本を閉じ、ソファの脇に置いた。
空いた両手をどうしようかと思ったが、それを察知したかのように奈緒が左手を握ってきた。

以下略



24: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:06:27.21 ID:IfE//nEu0
そうは言うものの、志保も繋がれた手を積極的にほどこうとはしなかった。
奈緒の手は暖かく、まるで子供が眠いときに体温が上がっていくようだった。
志保は小さいころの弟も眠くなるとそうだったなと思い出す。
奈緒と同じく、弟が志保の手を離そうとしなかったことも。

以下略



25: ◆qKhJzPKZxI[sage]
2017/02/13(月) 22:07:28.61 ID:IfE//nEu0
「……んぅ」

再び目を覚ました志保の膝にいたのは奈緒だ。
眠る前と変わらずそこに彼女はいた。
時計を確認すると四時間ほど経過していた。奈緒の集合時間まであと一時間ほど。
以下略



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