過去ログ - 速水奏「ここで、キスして。」
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2:znAUHOH90 1[sage]
2017/04/05(水) 00:52:50.50 ID:znAUHOH90
ファーストキスは、血の味がしたの。
貴方のせいよ。

『ねえ、今だけは私を見て? つらいことも、あの人の事も……すべて忘れさせてあげるから。』

以下略



3:znAUHOH90 2[sage]
2017/04/05(水) 00:56:17.31 ID:znAUHOH90
「奏えー……」
「…………」
「奏さーん」
「…………」

以下略



4:znAUHOH90 3[sage]
2017/04/05(水) 01:00:49.73 ID:znAUHOH90
「大人をからかうんじゃありません」
「なぁに、さっきのこと? ふふっ、意識しちゃった?」

346プロのいいところのひとつは、社用車のクオリティが高いことだ。
都内の走りにくい道でも、助手席で面白げに微笑むシンデレラが束の間、くつろげるくらいには。
以下略



5:znAUHOH90 4[sage]
2017/04/05(水) 01:04:42.22 ID:znAUHOH90
薄暗い明かりに、鮮やかな赤い唇が浮かぶ。
何だかって名前のブランドの、柑橘系の香水の香りに包まれる。
ゆっくり、音もしないほど静かに、太股と胸の辺りに、柔らかな重みが加わる。

「私は、貴方の望んだ以上のアイドルになってみせる。けど、貴方の前では、普通の女の子でいたらいけない?」
以下略



6:znAUHOH90 5[sage]
2017/04/05(水) 01:12:34.65 ID:znAUHOH90
「……ん?」

タバコは別に好きじゃない。若い頃は吸っていなかった。この仕事を始める時に、この業界には未だタバコを吸う人間が多くて、話のネタのひとつとして吸い始めたのがきっかけだ。
だが吸い慣れると間が持たないときなど、ついくわえたくなる。こうしてだんだん深みにハマるんだろう。
運転中、くわえたタバコを一吸いした矢先に、専務から電話が入った。まだ大分長さの残っていた火を消して、スピーカーを繋ぐ。
以下略



7:znAUHOH90 6[sage]
2017/04/05(水) 01:19:51.28 ID:znAUHOH90

「ねえ、煙草吸わないの?」
「人の前では吸わないよ」
「私の前では吸ってよ、プロデューサーさん」
「吸うなっつったろう」
以下略



8:znAUHOH90 7[sage]
2017/04/05(水) 01:40:14.96 ID:znAUHOH90
「え?」
「なんかさ、昇格するんだって。まだ確定じゃないけど」
「……へ、へー……そう……」

にやけ顔が消えて、言葉は途切れ途切れになる。平静を装おうとする奏に、後ろ髪引かれる思いになる。
以下略



9:znAUHOH90 8[sage]
2017/04/05(水) 01:44:27.23 ID:znAUHOH90

一人の事務所で、タバコを手でもてあそんでいた。くわえてはみたものの火を付ける気にもならず、ゆびのなかでくるくると回してみたり、とんとんと机を叩いたりしていた。
天井を見上げたら、ソファの上からバイブレータの音がする。

「あいつ……」
以下略



10:znAUHOH90 9[sage]
2017/04/05(水) 01:52:05.72 ID:znAUHOH90

「−−−−奏。」

東京の海沿いで佇む後ろ姿が振り返る。
はじめて会った場所だ。
以下略



11:znAUHOH90 10[sage]
2017/04/05(水) 01:59:27.59 ID:znAUHOH90

「奏が好きなんだ。ずいぶん前から。ずっと。」

ぶん殴ってやろうかと思ったの。
だってそうじゃない、あんなにはっきりと拒絶したのに、今更のこのこやって来て。
以下略



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