55: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 17:06:49.37 ID:hbVB15e3O
「とにかく、絵ちゃん、次電話かかってきたら、帰るように説得して」
「一応、頑張ってみるけど」
「一応?」
56: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 17:20:24.66 ID:hbVB15e3O
「私、面倒見切れないよ」
「私だって、面倒見られるよりもお世話する方が好き」
「……まあ、この件についてはまた今度にしよ。埒が明かない」
57: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 17:30:36.07 ID:hbVB15e3O
『絵ちゃん……ごめん』
暗い声。
「ちあきさん、すっごい心配してるよ」
58: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 17:48:14.38 ID:hbVB15e3O
「待って、ちょっと整理させて」
『うん』
ひろ君の話はこうだ。
59: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 18:00:24.78 ID:hbVB15e3O
着いた場所は、ラブホテルだった。
普通のホテルじゃないのね。
電信柱の影から、建物を覗く。
四方八方、人気が無くなったのを確認して、こそこそと入口へ。
エレベーターで、教えてもらった部屋に向かう。
60: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 18:22:29.81 ID:hbVB15e3O
下り専用のエレベーターで、二人沈黙して外に出た。
ひろ君にかける言葉が見つからず、私は彼の頭をぽんと叩いた。
ワックスでガチガチでざらざら。
ホテルのネオンに照らされて、赤茶の髪が燃えているように見えた。
怒っているようには見えなかった。
61: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 18:52:17.03 ID:hbVB15e3O
「俺は……さっさと家を出たい。それだけだよ」
「あんたは、まだ中学生なのよ?」
「分かってるよ! 分かってるから、もう、俺に構わないでよ! 姉ちゃんが、俺の周りの人を傷つけてるんだ……知ってる? 絵ちゃんは、姉ちゃんのせいで年上の女性がトラウマになった。ろくに授業も集中できないんだってさ! 俺の小学校の時の友達、姉ちゃんが叱ってから音信不通なんだよ? それから、教室で姉ちゃんが張り倒した子……俺の初恋だった」
62: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 19:06:29.57 ID:hbVB15e3O
わんわん泣くちあきさんを私の部屋にもう一度連れ帰るのは苦労した。
橋を見かけたら飛び込もうとするし、線路を見かけたら立ち止まるし。
それはそれは大変だった。
それはもう、私の中の年上女性観がどんどん切り崩されていくくらいには。
63: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 19:51:37.72 ID:hbVB15e3O
CMに入った。もう一度ココアをすする。甘い。
私はこの数日で、ちあきさんの様々な表情を見た。
怒ったり、泣いたり、笑ったり。
忙しい人だった。
私よりもずっと繊細で、大人っぽくない。
64: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 20:22:13.75 ID:hbVB15e3O
ひろ君が自分で正しいかどうか判断できない時は、さっきみたいに叱ってあげればいいけど。
彼には彼のペースがある。やり方がある。
明日、ちあきちゃんが家に帰ってもきっとひろ君は口を利いてくれないだろうけど。
待ってあげてね、ちあきちゃん。
65: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 20:52:10.51 ID:hbVB15e3O
小さい頃の話だよ。
今は、まあ、ちょっとはそういうこともあったかも。
「思えば、私さ、片想いみたいに……」
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