32:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:42:39.00 ID:kEcSo673O
数日後の昼過ぎ、会議室から戻った俺を、事務員の千川さんが呼び止めた。
33:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:43:16.82 ID:kEcSo673O
時計を見ると、レッスン開始から既に三十分程経っている。思わず握ったデスクの縁が、妙に冷たく感じられた。
動揺を抑えながら、千川さんに確認する。
34:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:44:05.03 ID:kEcSo673O
であれば一体、どうしたのだろう。
とにかくまずは森久保に電話しよう。と、俺は椅子に深く掛け直し──。
35:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:45:16.04 ID:kEcSo673O
あまりの驚きの連続に、俺は声を掠れさせながら訊ねる。
「も、森久保さん……。どうした、こんな所で」
36:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:46:25.63 ID:kEcSo673O
初めて二人で入ったのは、事務所から五分のカフェだった。
37:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:47:20.18 ID:kEcSo673O
正直に言うと、驚いた。
「サボってしまって、ごめんなさい」でもなく、「アイドルなんてしたくないです、ごめんなさい」でもない。「迷惑を掛けて、ごめんなさい」と言ったのだ。
38:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:48:08.06 ID:kEcSo673O
「だ、大丈夫、大丈夫! 怒ってないから気にするな。トレーナーさんにも上手いこと言っておくからさ」
森久保の罪悪感を少しでも和らげようとしていると、店員が来た。
39:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:49:48.51 ID:kEcSo673O
しばらくしてその店員が湯気の立つマグカップを二つ持ってくる頃には、何とか森久保の涙も収まった。
ココアを受けとる時、彼女が小さく頭を下げる余裕を見せたので、ようやく安心した。
40:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:50:28.53 ID:kEcSo673O
二人で初めてのサボタージュ。そこで一緒に頬張ったガトーショコラは甘く、そしてほろ苦かった。
口を小さくもごもごと動かし、こちらの視線に気付くと、
41:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 01:51:28.14 ID:kEcSo673O
我に返ると依然として、ざわめきが俺たちを囲んでいた。インカムを付けたスタッフが走り、衣装を身にした少女達がうろうろと歩き回る。
その中で森久保は、きょとんとした顔をこちらへ向けている。
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