56:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:03:08.04 ID:kEcSo673O
責任者の方々に挨拶をし、私達は車内へと戻ってきました。
57:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:03:54.59 ID:kEcSo673O
Pさんは少し間を置いて返事をします。
「客観的なことだけで言うと……難しいだろうな」
58:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:04:41.48 ID:kEcSo673O
Pさんの言葉は私が心から願っていたものでした。
それなのに、何故でしょう。私はむきになって反論しようとしてしまいます。
59:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:05:40.32 ID:kEcSo673O
「私はそんな皆を目の端に入れていたのに、ずっとずっと、見ない振りをしていたんです……。 イベントが上手くいかないで帰ってきた人を見ると、凄く悲しくなりました。 レッスンを終えて疲れているのに、何故か気持ち良さそうな表情を見ると、後ろめたくて仕方ありませんでした。 ライブが成功して喜んでいる人を見ると……。 もりくぼは……私は、何だか胸が堪らなく苦しくなるんです」
60:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:06:58.05 ID:kEcSo673O
運転席に座り、正面を向いたままのPさんは、穏やかな口調で話始めます。
「分かっているんだ。経験、実力、評判……。それにどれだけの差が開いたのか。それがどれだけ厳しいことかなんて、俺だって良く分かっているんだ」
61:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:08:09.88 ID:kEcSo673O
静まり返った車内で、プレーヤーから流れる曲だけが仄かに聞こえます。
先程聞き惚れたあの歌が丁度流れていることに、この時私はようやく気付きました。
62:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:09:44.11 ID:kEcSo673O
「も、もりくぼは……」
──いや、違う。もりくぼじゃない。私はどうなのか、なんだ。
63:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:10:47.81 ID:kEcSo673O
他の人には大きく離されているけど──
「そ、それでも……」
64:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:12:01.40 ID:kEcSo673O
それを認めた途端、音を立てるような勢いで目から涙が溢れました。嗚咽を必死に抑え、言葉を絞り出します。
伝えたいことは、もっとある。
65:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/12(火) 02:12:53.39 ID:kEcSo673O
その赤いネクタイに涙の粒がじんわり染みていくのを感じ、ようやく私はPさんに抱き締められていることに気付きます。
それは父が娘を守るような、あるいはチームメイトと固く組み合うような、そんな抱擁でした。
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