宮本フレデリカは如何にしてこの世を去ったのか
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28: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:37:48.23 ID:p0TmPlc30
海の近くには古びたビジネスホテルがあり、二人はチェックインした。
志希はベッドに座り、半ば無理矢理眠らせたフレデリカの頭を優しく撫でる。
フレデリカの目元をよく見ると隈が出来ている。
慈しむように志希は彼女の寝顔を眺めていた。
彼女は、今日のフレデリカとの出来事を思い出す。
以下略 AAS



29: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:39:18.27 ID:p0TmPlc30
その時、トントンと部屋の扉が鳴った。
志希は気にもせずフレデリカを眺めていたが、
ノックの音にピクリと反応したフレデリカを見て不満そうに振り返った。
トントン、トントンと立て続けにノック音が響く。
彼女は布団をフレデリカの頭まで被せると、気怠げに立ち上がる。
以下略 AAS



30: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:40:27.26 ID:p0TmPlc30
男はにやりと下品な笑みを浮かべると、志希に向かって口を開いた。

「一ノ瀬志希、俺の事を覚えているか?」

腹部を押さえ蹲る志希を見下ろし男は一方的に語りかける。
以下略 AAS



31: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:41:04.93 ID:p0TmPlc30
一人の大学教授がいた。
彼は女学生の弱味を握っては性行為を強要し、
それを写真に収め脅迫するという手口を繰り返していた。
彼は性行為自体よりも女性を手玉に取る事に至上の悦びを感じ、
多くの女学生を自身の欲望の為に陥れていた。
以下略 AAS



32: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:42:08.99 ID:p0TmPlc30
画面に映った映像に、聴衆はどよめいた。
映し出されたものは、論文や実験映像などではなく……
中年男性と若い女性の情事であった。
男は赤らんだ顔を青くし、キーボードを叩く。
だがどういった事か変化はない。
以下略 AAS



33: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:43:39.52 ID:p0TmPlc30
男は証拠写真を完璧に隠していた。口止めも抜かりはなかった。
実刑判決を受けることはなかったが、当然職を辞する事となった。
ある日の夜、男は元勤務先の大学に忍び込んだ。
目的は当然、自分を陥れたに違いない『彼女』に復讐する為、個人情報を得る為だった。
男は大学に入り込む事には成功した。だが肝心の彼女のデータが見つからない。
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34: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:44:37.68 ID:p0TmPlc30
その時、男の頭の中でキーンと音がした。
男は彼女以外の事は一切考えていなかった。
なのに、どういう訳か、全く違う女性の顔が思い浮かんだ。
以前東京へ行った時、イベントか何かでちらりと見かけた女性の顔を。
女性はアイドルだった。端正な顔立ちだったため印象には残っていたが、
以下略 AAS



35: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:47:55.75 ID:p0TmPlc30
「どうやって見つけ出したか、か?」

男は志希を見下ろし、語りかけた。

「さあな、理屈は分からない。難問を前に、『解』だけを渡されたんだ」
以下略 AAS



36: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:48:34.71 ID:p0TmPlc30
彼女は僅かに顔を横に振る。
それを見て男は更に嬉しそうに語り続ける。

「違わない。お前が俺を陥れたからこうなったんだ」

以下略 AAS



37: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:49:09.83 ID:p0TmPlc30
彼女は男の養子になる事を笑って承諾した。
その時彼女の胸にあった感情はなんだろうか。
安堵ではない。不安とも違う。感謝、焦燥、恐怖いずれでもない。
絶望だった。深い深い絶望に彼女は包まれていた。
生まれて初めてのその感情に視界は灰色に歪み、手足は震え、頭はまるで動かない。
以下略 AAS



38: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2020/05/04(月) 17:50:19.72 ID:p0TmPlc30
彼女は誰をも愛し、誰からも愛される人だから。
誰よりも優しくて、誰よりも人の事を考えて…
誰よりも、楽しそうに笑っている。

だから、彼女は一人で泣いていた。
以下略 AAS



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