高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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4: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:34:31.05 ID:hD9nuK1M0
「――――――信じませんね。僕は、信じません」

わりとはっきり、言ったかもしれない。
その時、彼女はどんな顔をしただろうか。

以下略 AAS



5: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:35:35.07 ID:hD9nuK1M0
「信じたいです。縁えにしがあるということ」 →「信じたいです。縁があるということ」

で、お読み替え下さい、スミマセン。


6: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:40:11.16 ID:hD9nuK1M0

◆◆◆◆

『泣くなよ、楓。泣くんじゃない』

以下略 AAS



7: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:42:44.53 ID:hD9nuK1M0

少女の小さな頭を胸の中に、しまい込むように抱いた。
楓の強がりが、心臓の鼓動が送る温さに融けていき、やがて、しゃくり上げるような嗚咽に変わる。
男の子はぎゅっと目を瞑って、一層きつく、楓の頭を自らに押し付けるように強く抱いた。

以下略 AAS



8: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:44:22.42 ID:hD9nuK1M0
うまく笑えていたのかはわからぬ。
じゃが、楓に笑えと言いながら、男の己が泣くわけにはいかぬと思うた。
ゆえに、少年は、精一杯の力を込めて笑顔を作った。

『たとえ千両でも用意できるようになれる立派な男になって、おまんを迎えに行くから。じゃから、俺がいのいちに見付けられるように、天下一等の歌い手になってけろ』
以下略 AAS



9: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:47:18.09 ID:hD9nuK1M0

「見棹屋ぁ、鯉風太夫、道中まかりこしまするゥ」

月明かりに浮かぶ、紅の着物。禿が両袖を胸に添え、きんきら声を張り上げる。
しゃなり、しゃなり。
以下略 AAS



10: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:49:18.32 ID:hD9nuK1M0

「――――おまねき頂き、ありがとうございます。見棹屋鯉風太夫、ご逢状承り、ただいままかりこしました。」

気の狂うような鮮やかな朱色の天井と金屏風を背に、上座からうやうやしく頭を下げる。

以下略 AAS



11: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:51:10.48 ID:hD9nuK1M0

「おっとっと」
「……なんして」

ひょうとした声の侍と裏腹に、太夫は絞り出すような声を、耐えるように零した。
以下略 AAS



12: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:52:57.49 ID:hD9nuK1M0
六つか七つの頃、売られてゆくわっちにお前様はこういいあんした。

『のう、楓。どうせ芸者になるなら、天下一の芸者になってけろ。わしも天下に名乗りさ上げて、おまんの座敷ば呼ばれるような男になる。じゃからその時まで、決して泣くな。泣きたくなったら上向いて、洒落でも言うて笑い飛ばせ』

幼い時分とて、賢いお前様ですから。売られていく、というのがどういうことかはわかっていたのでしょう。
以下略 AAS



13: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:54:06.99 ID:hD9nuK1M0
『浅葱のだんだら血に染めて、四条の辻を鬼が通る』

数年前の池田屋と蛤御門の事変の折より、京でその名を知らぬものはありんせん。
いかな貴人であろうとも、お役目とあらば問答無用で叩き斬ってしまう、泣く子も黙る恐ろ恐ろしい壬生浪。
否、壬生狼の事でござんす。
以下略 AAS



14: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 18:55:25.01 ID:hD9nuK1M0

「楓、歌を聞かせてくれんか」
「……歌、ですか」
「ああ、おまんの歌。皆が我が事のように語る。ご天朝様ですら聞き惚れたというおまんの歌。わしにも聞かせてくれ」
「……約束してくれるのでしたら、良いです」
以下略 AAS



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