【モバマス】P「土をかぶったプリンセス」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:16:27.25 ID:+jykf0ly0
テンポよく次々と話題が飛び出す彼女は、話していて飽きることがない。これも一種の話術、才能なのかな、なんてふうに感心した。自分にはないものだ。

お互いの手にあるものがなくなった時点で、彼女とは別れるのが普段のならいだ。その時は二人ともコーヒーしか買っていなかったから、飲み干した時点でその場を後にした。
コンビニ前のゴミ箱は誰が何を捨てたのかえらくパンパンで、缶を押し込むのに少し苦労した。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:17:07.03 ID:+jykf0ly0
帰り道を足早に進む途中、ふと思い立って仕事には慣れたか、と尋ねた。

「バッチリ! いーい人ばっかだしー、みんな優しーし! 仕事はやさしくないけどっ」

それはよかった。ほっと息をついた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:18:47.63 ID:+jykf0ly0
4.

工事現場の作業員に、いい印象を持っている人はたぶん少ないだろう。
基本的に工事はやかましい騒音を立てるし、道路をふさいだりもする。仕事なんだから仕方のないことなのだが、それでも時折クレームが入る。
こちらの不手際を責められるなら謝罪の言葉もすらすら出るが、仕事上のやむを得ないあれこれにいちゃもんをつけられるとどうにも敵わない。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:19:26.32 ID:+jykf0ly0
この現場には女性は一人しかいない。
老人の手を引く彼女の姿。なんとなく光景が想像できるようだった。

プレハブに彼女を呼び、電話があったことを伝えた。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:20:08.50 ID:+jykf0ly0
「アタシー、こーゆーのほっとけない系なんっすわー」

そう言ってテキパキと散らばるゴミを拾い集めた。
驚きで一瞬身を硬くしてから、後を追うように手伝った。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:43:36.89 ID:+eTeNEs7O
5.

晩夏。
八月も終わろうか、というのに、いまだしぶとい暑さが忌々しくしがみついてくる。空調に頼れない外での体力仕事は本当に参る。作業中は皮まで脱ぎたくなるほどだ。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:44:52.09 ID:+eTeNEs7O
通行人が多くなってきたから、重機の使用はそろそろ控えるべきか。交通整理の人員を増やして、ああ、あとは夜勤組に引き継ぎもしなければ。

段取りを組んでいると、作業服姿の男たちが荷物を抱えて数人こちらへ歩いてきた。先頭の年上の同僚が代表して申し訳なさそうに切り出した。

「……んじゃ、親方。悪いが俺らは先に帰らせてもらうぞ。あとは頼むな」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:45:36.76 ID:+eTeNEs7O

彼女の出身もこのあたりだったはずだ。
毎年行われるそれを見飽きたりしないのか、と尋ねた。

「んー、まぁ毎年だいたいおんなじだけど、アタシ的には見ときたいかなー。これ系のイベントってさ、いつ終わっちゃうかとかわかんないらしいし。来年はもーしません、とかもありえってぃかもじゃん?」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:46:35.36 ID:+eTeNEs7O
始まったらしい。時間はちょうど七時半だった。

一瞬のフラッシュと、轟きの連続、感嘆の声。
これをもう二度と感じられなくなるなら。
そう考えても、ならばと観る気はさほど起きなかった。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:47:07.43 ID:+eTeNEs7O
ついでに自分の頼むものも買ってきてほしい。そっちの会計もこちらで持つから、と伝えた。

「太っ腹だな。まあ全然行くけど、ちょっと遅くなるスよ?」

やむを得ないだろう。
以下略 AAS



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