萩原雪歩「ココロをつたえる場所」
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12: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:02:31.72 ID:bbgcA4Fi0



「コンセプトはやっぱり悪くないはず。でもモチーフをプラスするとなるとアイディアがまだ足りないし、それに何より時間が……」

以下略 AAS



13: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:03:07.93 ID:bbgcA4Fi0
「ねえ、コロちゃん。ひとつ聞いてもいいかしら?」

「いいですよ、チヅル」

 ロコの悩みを吹き飛ばすために必要な質問がすぐに思い浮かぶことはなかった。だから、まずはずっと気になっていたことを率直に聞いてみることにする。
以下略 AAS



14: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:03:37.89 ID:bbgcA4Fi0



 口に出して伝える言葉を信じてみることにしたの。
 だから、今は――
以下略 AAS



15: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:04:11.73 ID:bbgcA4Fi0



「あれ、ここにあったビデオカメラ、どこにいっちゃったのかな……?」

以下略 AAS



16: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:04:50.98 ID:bbgcA4Fi0



「結構な量になってしまいましたわね……雪歩ちゃん、重くないかしら?」

以下略 AAS



17: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:05:49.40 ID:bbgcA4Fi0



「お帰り、雪歩さん。話はできた?」

以下略 AAS



18: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:07:32.34 ID:bbgcA4Fi0



 何が重なったのか、ひどく頑なに口を閉ざされたものだと桃子は思う。胸を張って未来を語っていた時の活き活きとした姿は、もう振る舞いにしか残っていないように見えた。
 悩んで、もやもやして、でも打ち明けようとすることもできなくて……それなら何でもないように見せた方がずっと良いから、普段の自分を演じている。こと演じることについては一家言もっている桃子にとって、そういう様子はむしろ異変を浮き彫りにして見せているようで気持ち悪かった。
以下略 AAS



19: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:08:41.15 ID:bbgcA4Fi0
 千鶴はバッグから折りたたまれた数枚の紙と、ブレスレットのようなものを四つ取り出した。ブレスレットはどれも似たようなデザインで、煌びやかでありながら柔らかさを感じさせる。そして一様に、どこか簡素で物足りない印象を桃子に与えていた。

「……それは?」

「ロコアート。それとそのデザイン画みたいですわ」
以下略 AAS



20: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:09:14.78 ID:bbgcA4Fi0
「桃子、は……」

「桃子、あなたの気持ちは想像することしかできませんけど……これだけは胸に留めておいて。コロちゃんがこのアートを捨てようとした理由は、決して桃子にはないですわ」

「…………気休めは、よしてよ。そういうの……」
以下略 AAS



21: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:10:05.10 ID:bbgcA4Fi0



 本番と同じ環境で練習する機会を数多く用意することができることは、765プロが劇場を有することによる恩恵の一つとして挙げられる。特に、新人アイドルにとっては公演によって顔を知ってもらう機会を増やせることに並ぶ大きなメリットと言えるだろう。
 当然ながらスケジュールの調整は必要になるものの、外部の会場と比べればそのハードルも大幅に低くなる。公演やその準備、片付けが入っていない時間であれば、ステージの広さに合わせた動きをするための練習も比較的気軽に行えるわけだ。
以下略 AAS



22: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:10:51.90 ID:bbgcA4Fi0



 ――最近、チヅルとモモコがよそよそしい。
 がたんがたんと揺れる電車の中で、ロコはそう思っていた。レッスンの合間に挟まっていたお仕事を終えて、これで残りはあと少し。もうすぐレッスンに専念できるようになるというのに、それとはまた別の不安を抱えてロコは一人で劇場へ帰っていた。プロデューサーは他のアイドルのお仕事のためとかで、直接車を回して次の現場へ向かっている。
以下略 AAS



23: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:11:32.14 ID:bbgcA4Fi0



 こうしてみんなにお茶をいれるのも、なんとなく板についてきたかな、と雪歩は思う。もうすぐ劇場に戻ってくるはずのロコのために、とびきり熱いお茶を用意していた。
 ちょっとだけでいいからお話したい、とメッセージが届いたときには少しだけ驚いたけど、そういう受け皿に自分がなれるのであればそれは願ってもないことだと思う。ロコが精神的にも本調子でないことは彼女の素振りからも感じ取れたから。
以下略 AAS



24: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:12:17.93 ID:bbgcA4Fi0



『事務所に戻ったら控室に来てください』

以下略 AAS



25: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:13:43.97 ID:bbgcA4Fi0
「…………自分に、怒りを通り越して呆れしか出てきませんわ」

 そう、簡単に言ってしまえば一言で済む話。千鶴がロコに説いた言葉とは裏腹に、千鶴自身はロコに何も伝えようとしていなかったのだ。
 頼りになる、と小さくこぼしたロコの言葉を、その幻想を守りたくて……いや、それも美化している。誰かに頼られる二階堂千鶴を守りたい一心で、彼女の気遣いを受け流した。それがロコの自信を奪い続ける行為だって、自覚もせずに。
 千鶴こそが、真っ先に心を明かしてロコを支えてあげなきゃいけなかったのだ。ただ一人、それができるはずだったのだ。言葉を受け止めていたはずのに、彼女から伝えられたもの一つ教えてあげられなかったから。だから今、ロコは苦しんでいる。
以下略 AAS



26: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:15:00.55 ID:bbgcA4Fi0



 ――そんなロコが、みんなに何を伝えられたって言うんですかぁ……っ!!

以下略 AAS



27: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:15:40.23 ID:bbgcA4Fi0



 何日経っただろう。何の刺激もない毎日は、数えようとすら思えなかった。そしてそれは、唐突にロコの元へ訪れた。
 小さなダンボールに入った配達物。何かを注文した覚えはないし、贈り物があるだなんて話も、最近どころか生まれてこの方ほとんど聞いたことがない。
以下略 AAS



28: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:16:06.74 ID:bbgcA4Fi0



 公演を一週間前に控えて、レッスンもいよいよ大詰め。そんな日になっても、ロコはまだ劇場を訪れていなかった。できることはしたはず。そう信じていても、不安は隠せない。
 反応が完全に途切れてからもたびたび連絡をしてみたけれど、どれも繋がることはなかった。プロデューサーに掛け合ってみても首を横に振るばかり。どうしても気になるなら家の方に連絡を入れようかという提案は、ロコの意思を尊重して断ることにした。
以下略 AAS



29: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:16:49.17 ID:bbgcA4Fi0



「どうにか、ここまで来れましたわね……!」

以下略 AAS



30: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:18:50.98 ID:bbgcA4Fi0

 手を取って四人で歩き出した舞台は、笑顔と歓声に包まれて進んでいった。
 一人ずつソロ曲を披露して、合間のMCではアドリブで色々なことに挑戦した……いや、挑戦させられた、の方が正確かもしれない。ロコはわたわたと、千鶴はやせ我慢とともに、桃子はそつなく、雪歩は目を回しながらくじ引きで出てきたお題をこなした。
 そうして高まる期待を感じながら、四人はステージに並んで最後のMCを進行していた。残るは、今回の公演の題目でもある一曲のみ。その前フリでもある会話の中で、唐突にロコが一歩前へ出た。

以下略 AAS



31: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:20:33.63 ID:bbgcA4Fi0
以上、ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。お楽しみいただけていれば幸いです。


32: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2017/12/31(日) 21:30:07.69 ID:NTmXq4oV0
シアターデイズのココロがかえる場所にストーリーがあったらこんな感じなのかな
乙です

>>2
萩原雪歩(17) Vi/Pr
以下略 AAS



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