【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
1- 20
31: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:38:57.06 ID:oj63shz20
「アナタこそ、いいの?」
「夏葉と同じ意見だ。見ているだけで楽しいよ」
「……そう」

 優しげな口調だった。穏やかな空気が流れていた。俺もなぜか夢心地な気分になって、まだなみなみと中身の入ったグラスを、軽く揺すってみたりする。
以下略 AAS



32: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:39:43.25 ID:oj63shz20
 これみよがしなシャッター音だった。前を向くと、デジカメを構えたはづきさんが立っている。もう一度シャッター音が鳴った。

「ふふふ〜、ナイスショットです〜」
「……急に撮らないでくださいよ、はづきさん」

以下略 AAS



33: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:40:12.42 ID:oj63shz20
 一番上に積まれたアルバムの表紙には「放課後クライマックスガールズ」と書かれている。順当に考えれば、その下には各メンバーごとの個人アルバムが続くはずで、つまり、冊数は六でないとおかしい。間違えて誰かのアルバムを余分に持ってきたのかと思ったが、はづきさんの口ぶりだと数はあっているようだった。

「ふふっ、そういうことね」
 夏葉が確信めいた所作で一番下のグレーのアルバムを引き抜いて、俺に渡した。その表紙を見て目を疑う。題名はずばり『社長・プロデューサーさん・一応七草はづき』。

以下略 AAS



34: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:40:50.07 ID:oj63shz20
「おー、懐かしいな、これ」
「樹里、みんなも」
 クイズに興じていた四人が、昔話の匂いを嗅ぎつけたのか、こちらに来ていた。

「プロデューサーさんの、ちょっぴり恥ずかしい写真があると聞いて」
以下略 AAS



35: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:41:43.16 ID:oj63shz20
「……ああ、そうか。半年早いってそういうことか」

 俺がアイドルのみんなと出会う約半年前の、283プロに入ったばかりの写真もあるのだ。あの頃は切羽詰まっていて、行き場のない焦燥感に駆られていて、精神のギリギリの所をなんとか取り繕っている状態だった。それはもう酷い顔をしていたに違いない。

 あの当時はじっくりと鏡を見る余裕すらなかったので、その酷さを具体的に想像できないが、はづきさんが「刺激が強い」と評したということは、つまりそういうことなのだろう。
以下略 AAS



36: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:42:10.83 ID:oj63shz20
「ふふっ、信用されてますけど、信用されていませんね〜」
「ですねえ」
 社長の秘蔵ワインを一口含んでから、彼女たちに目をやった。


以下略 AAS



37: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:42:42.75 ID:oj63shz20
「うむむ……」
 どうにも落ち着かない気分になってしまった。

 彼女たちから見た俺自身の働きぶり。その沙汰が下ると思うと、腹の底がむずむずとしてくる。さっきまでの浮かれた気分とは違う。期待と緊張がせめぎ合っていて、わずかに期待感が勝っている。そんな判然としない高揚感を胸の内に感じていた。

以下略 AAS



38: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:43:21.55 ID:oj63shz20
「これでいいか?」
 前傾姿勢をとり、前髪を掻き上げた。

「はい! プロデューサーさんに押すのはこれです! 『たいへんよくできました』っ!」
 額に短く弱い圧迫感を感じた。智代子が満足そうな顔を浮かべる。どうやら綺麗に押せたらしい。
以下略 AAS



39: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:43:53.38 ID:oj63shz20
 夏葉が目を覚ましたのは、それから二時間後のことだった。
 彼女は自然と目を覚まし、寝惚けまなこをこすりながら周囲を見渡した。俺を除いて、既に事務所には誰もいない。お祝いの料理なども一通り片付いていた。

「智代子を連れて、樹里と凛世は寮に戻った。果穂は、はづきさんが車で家まで送ってる」

以下略 AAS



40: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:44:23.90 ID:oj63shz20
 夏葉は自分の立ち振る舞いを大切にしている人間だ。常に周囲に遠慮しているという意味ではない。夏葉はどんな時も善く在ろうとする心がけを持っている。だから、酔いつぶれたところなど見たことがなかった。

 とはいえ、夏葉も完璧な人間じゃない。そんな人間はどこにもいない。彼女が疲れ果てて眠っている姿など、これまで何度も目にしてきている。

 つまり知りたいのは理由だ。浮かれた気分だった、それで酒がすすんだ。それも間違いではないだろう。だがそれだけではないと、今日までの経験がささやいていた。
以下略 AAS



41: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:44:49.16 ID:oj63shz20
 その時、俺はどんな顔をしていたのだろうか。怯えた表情を浮かべていたのだろうか。夏葉は俺の顔を覗き込んで、励ますように微笑み、断言した。

「私は今が幸せよ」
 虚ろ気な雰囲気とは逆に、力強い口調だった。

以下略 AAS



61Res/84.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice