桃「シャミ子を走らせてたらシャミ子が倒れた」
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1:名無しNIPPER
2019/10/20(日) 23:40:42.55 ID:06K62MaI0
原作1巻後半、血を抜かれる前くらいのシャミ桃ifです。
2、3巻くらいの内容も多少含みますのでご注意ください。

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2:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:46:03.46 ID:06K62MaI0
「いけてる、いいペースだよ!」
 
既に恒例となりつつあるシャミ子の体力強化マラソンは、そこそこに順調に運んでいると言えた。
シャミ子はたいそうへっぽこだったけれど、それと同じくらいのがんばり屋さんだったのは嬉しい誤算。
何週間かそこそこみっちりやってきたお陰で、出会った頃に比べたら今ではまぁなんとか……ナメクジレベルから死ぬほど運動音痴の人間くらいにはなれたかなと思う。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:47:03.71 ID:06K62MaI0
ふっ……ふっ……!」
 
息は荒いけど、上がってはない。教えた通りに顎を下げて、しっかり呼吸ができている。
もうすぐ伸ばした分の折返しに到達するし、今回もなんとかなりそう。
 
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:47:48.59 ID:06K62MaI0
「終わったら、休憩がてら商店街でお茶でもしようかっ」
 
思い立ったらすぐ行動。シャミ子に少し近づいて、後ろから話しかける。
 
「シャミ子?」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:48:38.14 ID:06K62MaI0
シャミ子の体を横にする。顔は真っ青だし、冷や汗も凄い。
 
「うっ……」
 
シャミ子が吐いた。これ、もしかしなくてもだいぶヤバい……!
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:49:27.69 ID:06K62MaI0
「シャミ子、シャミ子……頑張って」
 
シャミ子はもう言葉も話せなくて、ずっと必死に呼吸しているだけだった。すごく痛いんだという事だけが、嫌というほど伝わってきた。
 
他人を癒す力なんて都合の良いモノは、魔法少女には備わっていない。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:50:24.93 ID:06K62MaI0
──────
 
せいいき記念病院。
シャミ子が運び込まれた病院は、偶然ながらもシャミ子が昔入院していた所だった。
 
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:51:39.29 ID:06K62MaI0
を持ってくれた。
 
「どうか、気に病まないでくださいね」
 
気を、つかわれている。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:52:32.93 ID:06K62MaI0
「千代田桃さん。あの子は、いつもたくさん貴方の事を話してくれます。魔法少女でありながらも、シャミ子と仲良くしてくれて、守ってくれている。私にとっても、それはとても嬉しい事なんですよ」
「そ、そんな事……いや、それより……その、シャミ子のお母さん、あなたは……」
「吉田清子と言います。名前で呼んでもらって構いませんよ、千代田さん。聞きたいこともたくさんあるだろうけれど、今はあなたもどうかゆっくり休んで」
 
清子さんは、柔らかな微笑みを崩さずにそう言って立ち上がり、良ければお家まで送りますと一言添えた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:53:22.52 ID:06K62MaI0
「……千代田桜さんには、返しきれない恩があります」
 
唐突に出てきたその言葉は、私の思考を完全に止めてしまうのに十分な威力を持っていた。
思考と一緒に時間すら止まってしまったかのような静寂。
 
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:54:22.53 ID:06K62MaI0
────

あの日から、何日か経った。

私は、清子さんとも、シャミ子とも、連絡を取っていない。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:55:09.88 ID:06K62MaI0
 数日前に聞いたシャミ子の入院した病室は場所が変わったりはしておらず、以前聞いた通りの場所に、「吉田優子」のネームプレートが入っていた。四人部屋だけれど、今はシャミ子しか部屋に入院している患者がいない様で、実質貸し切り状態らしい。

「あっ!桃!」

 寝ていたら申し訳ないから、なるべく音を立てないように入室してゆっくりカーテンを開けると、何やら本を読んでいるらしかったシャミ子とすぐに目が合った。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:55:59.63 ID:06K62MaI0
 シャミ子は不敵な表情を作ってそう言うと、床頭台に置かれたノートを広げて見せた。そこには、強くなる為の作戦と銘打った、何やらアホっぽい発想がびっちり羅列されている。とりあえず、シャミ子の横に椅子を置いてそこに座ると、シャミ子ベッドに座る形になって、自然に面と向かう様になった。あれから体に異常はないみたいで、動きにくかったりもしない様子で、本当に良かった。

「えっと……ちょっとそれは置いといていいかな。「置いとかれた!」まずは、本当にごめん、シャミ子。私が事情も知らずに振り回したせいで、こんな事になっちゃって」
「へ? ああ……それは気にしないでください! ああいう事、たまにあったんです。最近はめっきりなかったんですけど、あそこまでひどいのは本当に稀で……桃が居てくれて、とても助かりました……ってそうだ!私吐いたらしいじゃないですか!桃が汚れなかったか心配です!その節は本当に」
「ごめん、本当にごめん」
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:56:42.02 ID:06K62MaI0
「もうちょっとで、シャミ子を殺しちゃうと思った……私のせいでシャミ子が死んじゃったって思ったら、辛くて辛くて仕方なかった……!」
「も、桃、泣かないで、私元気ですから」
「うん、うん……ごめんね、シャミ子……ごめん……」

 シャミ子が困っている。きっと、この子自身も、こういうときどうすればいいのか分からないんだ。底抜けに優しくて、人を憎む事なんて全然できないんだから。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:57:58.84 ID:06K62MaI0
────

 時間にすると、数分も経っていないくらいだった。だんだん落ち着いてきた私たちは、なんとなく気恥ずかしくて、ちょっと近づきすぎた距離をどちらともなく離したのだった。

「私ね、シャミ子が倒れて、病院に運ばれて……前から体が弱かった事を知って……その時は、もうシャミ子にかかわらない方がいいって思ったんだ」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:58:37.07 ID:06K62MaI0
「ええ!? なんでまた!」
「なんて言えばいいのか……私、もともと相手に合わせるのとか苦手だから、きっと、今後も同じ様な事が起こるんじゃないかなって。それで、またシャミ子が危険な目に遭って、そのまま死んでしまったら……私は、もう耐えられる自信が無い」
「あれはっ、私もいけると思っていたから……」
「そういう問題じゃないよ。ケースが違っても、似たような条件が揃っちゃう事はあり得るから。それに、今はそう思ってないんだ」
「あっ……そうなんですか。よかった……」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:59:09.63 ID:06K62MaI0
だから、シャミ子と何かする時は、まずご家族さんと相談してから。」
「お、お母さんですか」
「そう。あの人は、色々と情報をたくさん持ってる。シャミ子の事もそうだし、しっかり腰を据えて話をする必要がある。それと、何があってもシャミ子を守れるように、私も色々勉強しようと思う」
「えっ……桃が……? そんな、悪いですよ! しかも勉強って」
「これでも物を覚えたりするのは得意な方だから」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage]
2019/10/20(日) 23:59:49.64 ID:06K62MaI0
さらりと暴露されたシャミ子の私への印象に少なからずショックを受けながら、今後の方針を伝える。ちなみに、学校での成績を教えるとたぶん今までで一番驚かれた。なぜ。

とにかく、やる事は山ほどあった。清子さんとの対話に、勉強に、姉の捜索。シャミ子が他の魔法少女に狙われる可能性だって、まだまだある。逃げる事は、とても簡単だ。それでも、私は向き合おうと思う。

それが、この子への贖罪にもなると思うから。


19:名無しNIPPER[sage]
2019/10/21(月) 00:02:00.61 ID:8JzmgS2A0
以上です。まちカドまぞく、一歩間違えれば闇落ちスレスレな綱を渡り続けてる気がするよねというアレでした。

ちなみにシャミ子が倒れたのは魔翌力がアレしてアレした結果ですので実際大事には至っておりません。魔翌力が足りなくなった結果たぶん心臓かどっかが弱っちゃったんじゃないかな。


20:名無しNIPPER[sage]
2019/10/21(月) 04:37:49.61 ID:WPgIP8xOo
いやその前になんで桃が清子さんに会えるんだ?


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