6:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:47:43.08 ID:LYl+0qW60
裸足になったキサキは、そのままベッドに乗り込んでくる。ギシギシと小さく軋む音を立てながら、ゆっくりと膝をついて先生に近づいた。先生は無意識に後ずさるが、キサキは触れられるほどの距離で止まり、首をかしげる。
まっすぐに先生の目を覗き込み、その瞳には期待が浮かんでいた。はだけた胸元から覗く白い肌が、無防備に先生の視界にさらされている。
「いやいやいやいや…!」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:49:27.68 ID:LYl+0qW60
先生が動けないままでいると、徐々にキサキの脚の動きがゆっくりと止まり、頬杖も解かれていった。やがてベッドに完全に寝そべると、キサキは呆れたように、あるいはすねたように、目を細めてため息を漏らした。
「…はぁ。なんじゃ…そういう趣向ではないのか?前回はこうしていたら、有無を言わさず覆いかぶさってきたというに」
「……………」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:50:46.06 ID:LYl+0qW60
「キサキ!…よくないよ、こういうのは…」
絞り出すようにそう言った後、ちらりとキサキを見ると、彼女は驚きと戸惑いが入り混じった表情で目を見開いている。
「…え」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:51:54.72 ID:LYl+0qW60
「許してくりゃれ…」
か細い声が胸に落ちる。
「いや…」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:53:21.20 ID:LYl+0qW60
「…はぁ…もうよい。要するに、そういう気分ではないのじゃろ?考えてみれば気絶したように眠っておったからのう…少しばかり様子が変でもおかしくない」
「…………痛覚と記憶がおかしくなってるだけでこれが現実の可能性もある…?」
「なんのことだかわからぬが寝たらわかる。妾が寝かしつけてやるから、大人しく横になってくれ」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:54:12.79 ID:LYl+0qW60
「髪をほどいてくれぬか?」
「私が?」
「いつもしてくれていたじゃろう…今日はしてくれぬのか?」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:55:05.36 ID:LYl+0qW60
「ふふ…乱れた髪を丁寧に梳いてもらうと、大事にされているようで心地が良いのじゃ」
「…」
「まあ、その乱れの原因は先生なのじゃがな…整えてもらうのもまた一興じゃ」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:56:11.05 ID:LYl+0qW60
「…ずいぶん楽しそうだね」
「ん?」
枕を並べて横たわるキサキが、優しい手つきで先生の頭を撫でている。
14:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:57:36.04 ID:LYl+0qW60
唇を離した後も、キサキは甘えるように先生の肩に寄り添った。顎を上げ、生白い首筋を惜しげもなくさらしてみせる。
「妾にも頼む」
「それはできないよね…」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:58:38.27 ID:LYl+0qW60
沈黙が部屋を支配する。しばらくしてから、キサキが小さく笑った。
「…困らせてしまったのう。そんなつもりは、なかったのじゃが。妾は、いつもみたいに」
「…」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:59:41.28 ID:LYl+0qW60
もし、これが夢であれば。
現実に影響がないならば、その背中に手を伸ばすことも許されるのかもしれない。
これが現実だとしたら?
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