過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:19:27.94 ID:IClwZiHj0
「どうも。お招き預かりまして光栄の至りです」

三十分程してやってきた古泉は玄関口で黒コートを脱ぎながら俺に笑いかけた。その両手にはコンビニで調達してきたものだろう、ビニール袋がぶら下がっている。

「悪いな、突然で」
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:20:14.40 ID:IClwZiHj0
「悪いな。フレンチクルーラこそ人類の至宝と教えられて育ったんだよ、俺は」

我が家では朝食にミスドが並ぶ事が極稀に有るが、その時は例外無くフレンチクルーラが八個用意されて一人二個と宣告されるハウスルールが設けられている。
このサクサク感を出すまでにどれだけの苦労が有ったのか、それを考えたならばフレンチクルーラ以外を選ぶのは最早ミスドへの冒涜と言えないだろうか?
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:21:46.27 ID:IClwZiHj0
釈然としない胸の内をフレンチクルーラにぶつけ、スクリュードライバで飲み下す。それでも消えないモヤモヤを視線に乗せて古泉を睨み付けると、少年は「申し訳ありません」と頭を下げた。

「しかし、それでも貴方にはその事実を許容して頂かなければなりません。貴方はどこにでも居る一介の男子高校生などでは、間違ってもないのですから」

「だから、その認識が間違ってんだよ」
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:22:53.31 ID:IClwZiHj0
深夜。古泉を送り出した後。日中だらだらと食べ物を口にしていたせいで、変な時間に腹が減って起きてしまった。携帯を開けば時刻はAM二時。こんな時間ではどこの店もやってはいまい。
空腹をやり過ごして寝てしまおうかとも思ったが、しかし今日ばかりは何も我慢するべきではないと俺の中の誰かが囁きやがる。悪魔とかそんなんかね?
まあ、何でもいいさ。どうせ、着の身着のままで寝ちまったんだ。外出に際して着替える必要も無い。コート一枚羽織れば俺@コンビニ突撃仕様の出来上がりだったしな。
おっと、財布財布……はコートのポケットに入れっぱなしか。寒いし、おでんかカップ麺だな。あったかい食物を胃が欲してぐるぐると唸りをあげていやがるぜ。
コンビニに置いてある食い物その他を頭の中で物色しながら玄関を出、最初の十字路を右に曲がり……
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:23:56.94 ID:IClwZiHj0
「……アンタ、何モンだ?」

俺の問いかけに、ソイツは鼻を鳴らす。今、俺は何か面白い質問をしただろうか。そんなつもりはないのだが。
しかしてよくよく自分の発言を思い返して、それは確かに漫画かアニメのような気取った発言に聞こえなくも無い。やっちまったか、俺? 自意識過剰か非日常にどっぷり肩まで浸かり込んで日常パートにまでそういうのが侵食してきたのだとしたらコイツはもう笑えない話だ。
アンタ、何モンだ?
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:25:20.37 ID:IClwZiHj0
「あの……スマンが話がさっぱり掴めんのでこの辺で俺はお暇させて頂いてもいいだろうか?」

言いながらも俺は後ろ足に重心を掛け始めていた。男に隙を見つけたらその時点でマイケルばりのムーンウォークでもって逃げ出す気は満々だ。

「いや、ぼくは別にいいけどね。ただ、ここでぼくとの間にフラグを立てておかないと多分、君の友達はみな死んでしまうと思うけど」
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:27:12.19 ID:IClwZiHj0
一通り話が終わった後で、戯言遣いは俺に向けて何かを投げて寄越した。

「長話で体が冷えただろう?」

それを受け取って、手の中の温もりに愕然とする。缶コーヒー。それはいい。これ自体はどこにでも有る市販のものだ。だが、今コイツはこれを懐から出したんだぞ? たった今!
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:28:54.49 ID:IClwZiHj0
「こんな事は驚くに値しない。それよりも、こういった事を平気で行えるような人間が君の前に現れた、その事をこそ君は驚愕するべきだとぼくは思う」

「どういう意味だよ」

「君は知らないのかな? それとも知っていて考えないようにしているのか。別にどちらでもぼくはいいけれどね。『鍵』。宝物の鍵。それは宝物に次ぐ優先順位で守られるべきものだ。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:30:55.59 ID:IClwZiHj0
……なんだ? 今のブラなんとかっていうのはもしかして古泉の事を指してんのか?
しまった。もっとちゃんと聞いておけばよかった。あの似非スマイルをおちょくる材料を聞き逃すなんてあるまじき失態だぜ、チクショウ。

「……彼一人では狐さんの相手は難しいだろうな。とは言え、壱外の人間がのこのこと出て行けば玖渚機関における火種になりかねないとか、ああ困ったものさ。そうは思わないかい?」
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:32:15.64 ID:IClwZiHj0
「彼は敵じゃない。彼は世界の……敵じゃない」

俺の喉、そして背中から違和感が消える。それと同時に目の前に有った人の形をした夜も、見回せば背後に確かに居たであろう少女の姿も正しく言葉通り影も形もなくなっていた。
奇術集団かよ、お前らは。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 19:36:25.92 ID:IClwZiHj0
「十三銃士」

戯言遣いに促されるままに道を歩く。その俺に向かってソイツは肩口にそう言った。

「じゅうさん……じゅうし? 突然数を数えだして何がしたいんだよ、戯言遣い」
以下略



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