過去ログ - キョン「戯言だけどな」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:01:46.98 ID:IClwZiHj0
「その辺にしておけ、潤」

「……クソ親父。なんだよ、アタシのパートはこれで終了かよ。つっまんねえな」

頬を膨らませて立ち上がる赤い彼女。その鋭い眼光で睨み付けるのは、俺。……え? なんで、俺?
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:05:10.77 ID:IClwZiHj0
「良いんですか、狐さん。哀川さんを帰してしまって。これでもう、貴方を守る人は居ませんよ」

「『これでもう、貴方を守る人は居ませんよ』、フン。いいか、"いーちゃん"。潤はただの前座だ。お前も得意な時間稼ぎってヤツだ。時間が時間だからな。連絡が付いたのは六人しか居なかったが、それでもお前らを全滅させるには十分だろ」

十三銃士。あんな人が後十二人も居るっていうのかよ、おい。たった一人でも長門の相手を出来そうな規格外が他にまだ!?
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:12:50.21 ID:IClwZiHj0
俺といーさんと井伊崩子さんは揃ってファミレスのドアをくぐる。カラリカラリと小気味の良い来客を告げる鐘が鳴った次の瞬間、いーさんが小さな声でぼそりと言った。

「……伏せるんだ」

俺は何を言われたのか分からなかった。そりゃそうだ。「伏せろ!」なんてアクション小説なんかじゃよく見かける台詞ではあったが、それは所詮フィクションの中ばかりであり、真っ当に生きてきて自分が言われる対象になるなんざ夢にも思っちゃいなかった。
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:15:43.52 ID:IClwZiHj0
「いや、え? え?」

二度三度、走り去っていく崩子さんの後ろ姿と座り込んだいーさんを見比べる。

「追わなくて……いいのか? 一人で行かせちまって?」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:20:41.76 ID:IClwZiHj0
気付いた時、既にいーさんは隣から消えていた。唐突にこんな事を言っても理解が難しいとは思うが実際そうだったのだからそうとしか言いようが無い。ついさっきまで今後どうするかを話していた……はずなのに。で、ありながら。
二分前か、三分前か。五分前か十分前か。まるで神隠しにでもあったみたいに忽然と。
辺りを見回してみても一本道の裏路地である。ここを二人で並んで歩いていたはずなんだ。さっきまで。
おいおい、レベルの高い迷子能力だななどと、皮肉を少しばかり響く声で口走ってみても音沙汰無し。
……これはもしかして、敵の攻撃ってヤツか?
以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:25:43.43 ID:IClwZiHj0
「えーっと、ああーっと……オデットさんや?」

とにもかくにも話し合いを試みる俺。そうだ、きちんと向かい合って話し合わないからお互いを理解出来ずに戦争が始まってしまうのだろう。であるならば、言葉が通じる以上無用な血を流す必要なんてどこにも無いんだ。そうだろ?
人間関係は信頼関係。きっと電波さんとだって分かり合えなくとも共存の道は有るはずさ、どこかに。
……どこかとは言ったものの窓やらに柵の付けられた病院しか想像出来はしないのだが。
以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:28:50.76 ID:IClwZiHj0
ああ、これで終わりか。こんなトコロで終わりか。人間ってのは死ぬ時はやけにあっさりと死んじまうモンなんだなと俺の頭が諦念でいっぱいになるまでには一秒と掛からなかっただろう。
多分、走馬灯みたいな感じで時間が圧縮される現象がそこには起きていたんじゃないかと思う。なぜかっつーとそれは美女が俺から飛びのく様がスローモーションで見えたからであり、また俺と彼女との間に飛んできた刃物の軌跡がやけにはっきりと見えた事から俺はそう思ったのだが。
……助けに来るのおせーよ、ったく。

「その人は赤神イリアではありませんよ、赤神オデットさん。よく見て下さい。そもそも彼は男性です。その人を赤く染めたところで貴女の本懐は達成出来ません。悪しからず」
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:32:54.48 ID:IClwZiHj0
「カッターナイフ? の刃?」

「ええ。ほら、一応僕って機関の構成員と学生っていう二束の草鞋な訳じゃないですか。となるといざという時に武器に出来そうで持っていられる物は筆記用具関係しかないんですよ」

なるほどなるほど。つまり、コイツは常在戦場って感じなのか。不味いな。そんなの知っちまったら迂闊にからかう事すら出来ねえじゃねえか。あー、知らなきゃ良かった。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:37:37.06 ID:IClwZiHj0
「古泉!」

非難の意味を込めて少年の名前を呼ぶ。しかし、ソイツは無言で足元を見ていた。その視線の先には物言わぬ屍が転がっている、はずだった。
だが、俺の予想はここでも外れる。「それ」は口を聞いた。最早物言わぬはずの「それ」は、物を言った。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:43:43.68 ID:IClwZiHj0
「いいえ、姉さまはちゃんと分かって下さいます。貴方さえいなくなれば、邪魔者さえいなくなれば、紅茶とスコーンを用意してゆっくりと話し合えば優しいイリア姉さまは私の事をちゃんと受け入れて下さいます」

ですよね? と同意を求められても俺に頷ける訳が有るかよ、オイ? こんな妹持った覚えは無いし、本物の妹は今頃、兄の不遇も知らずに温泉旅館で夜もぐっすり熟睡モードだ。ああ、こんな事になるんだったら俺も一緒に温泉に行っておくべきだった!
誰だ、後の祭りであるとか後悔先に立たずとか上手い日本語作りやがったヤツは。大きなお世話にも程が有るだろ。そんなんは言われんでも今、骨身に染みて理解してるっつーの!
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/01/19(水) 20:46:32.69 ID:IClwZiHj0
よく考えれば。あんな小さな弾を撃ち込まれただけで血があそこまで噴き出すだろうか。冬に、コートを別にしても三枚は着ている服を抜けてコートの外にまで血が滴るものだろうか。
そして、なぜ古泉はずっと右肩を左手で押さえていたのか。俺はそれをずっと出血を抑えていたのだと勘違いしていたが。それが。
血糊を肩口で押し潰しているだけだったとしたら、どうだ?

「え!?」
以下略



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