過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9
1- 20
887: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:30:00.56 ID:fK0gY2ago

こんな筈じゃなかった。俺なりに頑張ってきたつもりだった。
夫として、家族の一員として精一杯尽くしてきたというのに……。

俺はテーブルに置かれた用紙を見つめながら、緊張と屈辱感に震えていた。
以下略



888: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:30:31.89 ID:fK0gY2ago

俺は、大学を卒業すると同時にあやせと結婚した。
あやせにとっては学生結婚になっちまったが、彼女がそれを強く希望したんだ。
頑張ろうと思った。あやせのためにも、そして、俺なんかのために骨を折ってくれた
親父さんのためにも。……しかし、現実はそう甘いもんじゃなかったよ。
以下略



889: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:30:58.98 ID:fK0gY2ago

その日はひと通りの取引先に顔を出した後、夕刻になって帰社すると、
社長の奥さんから給与明細の入った茶封筒を手渡された。
俺は経理部長の娘さんと軽く冗談を交わしながらさり気なく席を離れ、
薄暗い雑居ビルの廊下を突っ切ってトイレに入ると、封筒から給与明細を取り出した。
以下略



890: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:31:36.08 ID:fK0gY2ago

そうだよ、新婚だってのに、あやせとの新居が用意できなかったんだ。
俺の実家で、俺の両親と一緒に暮らすという選択肢は初めからなかった。
何しろ実家には、妹の桐乃がふてぶてしく居座っているんだからな。
もしも、俺の実家であやせとの新婚生活を始めようと思えば、
以下略



891: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:32:12.63 ID:fK0gY2ago

あやせと結婚してから、三年目が経過しようとしていたある日のことだ。
俺はマスオさん生活にも慣れ、会社での仕事もようやく軌道に乗ってきたというのに……。

いつものように仕事を終えて夕飯の買物をしてから帰宅すると、あやせは家にいなかった。
以下略



892: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:33:00.33 ID:fK0gY2ago

結婚して以来、俺はあやせの両親に遠慮して、一度も実家へ帰ったことがなかった。
まだ若いからと、あやせとの結婚に反対した親父やお袋に合わせる顔もなかったし、
何よりも妹の桐乃に会うのが怖かった。
桐乃から、一番の親友だったあやせを奪っちまったのは俺だもんな。
以下略



893: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:33:32.51 ID:fK0gY2ago

翌朝、俺は数年ぶりにお袋に起こされて目が覚めた。
眠気まなこで周囲を見回すと、そこは永年住み慣れた懐かしい俺の部屋だった。
机の位置も、洋服ダンスの位置も、何もかもが俺の記憶通りだ。
只ひとつ違うことと言えば、カレンダーだけが新しいものに架け替えられている。
以下略



894: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:34:09.65 ID:fK0gY2ago

いつもより早めに会社に出勤すると、俺は早速社長に呼ばれた。
あやせのお袋さんが手を回したらしく、今回の一件は既に社長の耳にも入っていた。
俺は当然クビになるもんだと覚悟を決めていたが、社長は笑って不問に付してくれた。
会社に迷惑を掛けたならともかく、家庭の事情で社員をクビにしていたら、
以下略



895: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:34:52.66 ID:fK0gY2ago

応接室のテーブルを挟んで、俺とお義母さんとの間には重苦しい空気が漂っていた。
目の前に突きつけられた離婚届から眼を逸らし、俺はただ黙って床を見つめる。

「京介さん、私もね、別に暇を持て余しているわけではないのよ。
以下略



896: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/05/03(火) 20:35:38.94 ID:fK0gY2ago

俺は額にびっしょりと汗を浮かべ、肩で荒い息を吐きながら辺りを見回した。
悪夢っていうモンは、いつなんどき見るか分かったモンじゃねえよ。
座ったまま眠るとロクな夢を見ないって、いつだったか誰かに聞いたことがある。
見回せばいつもの部屋、いつもの家具、まったく変わり映えのない風景だ。
以下略



1002Res/717.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice